Short2
□素直な気持ち
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「そろそろ文化祭だなァ」
いつもの教室でお昼ご飯を食べているとジャイロが急にそう言った、その言葉を聞いて私はディエゴと言い合っているジョニィを放置してジャイロの方を向く
「ジャイロはなんか気になる出し物とかある?」
「んー……俺は別に……あ、ライブとか?」
「ライブなんてうるさいだけだよ、まあ、ジャイロなら耐えれるかもしれないけど、弱っちぃナマエは難聴になるから行っても楽しめないだろうね」
ジャイロとどの出し物がいいか聞いていると、急にジョニィが会話に入ってきた、そしてこの挑発的な言葉……
ニヤニヤと私を嘲笑うように笑っているジョニィに私は同じように笑いながら
「ジョニィなんてきっと回る人一緒にいなくて独りぼっちの文化祭を楽しむ事になるよ」
と、言い返した、するとジョニィは負けじと私には一緒に回る人はいるのかと聞いてきた
「……私は……」
「ほら、ナマエもいないんじゃないか……なんなら、僕と回る?」
ジョニィの言葉に残念ながら返せないでいると、また馬鹿にしたように笑いながらそう言ってくるジョニィ
ジャイロが溜め息をつきながら呆れた時、私は笑っているジョニィにあまり言いたくなかった事を言うことにした
「……私はディエゴと回るし、この間誘われて承諾する事にしたよ」
そう言うと、ジャイロは飲んでいたいちごオレを噴き出し、ジョニィは大きな声を上げた
私の言葉が聞こえたのか、今までジョニィに殴られて悶えていたディエゴが私の手を掴み
「ようやく一緒に回る気になったか」
と、偉そうに言ってきたので、ジョニィが殴った部分をもう一度殴る
そして、むせているジャイロと唖然としているジョニィを置いて、私はそのまま自分の教室に戻る事にした、余談だがここはディエゴの教室で、私とジョニィとジャイロは同じクラスだ
私達のクラスはどうやら担任が当たりくじを引いたようで、なにも出し物はやらなくていいようだ、だが、予算は他のクラスに回るらしい
他のクラスが忙しく文化祭の準備をする中、私とジョニィとジャイロは一緒に帰る、いつもはここにディエゴとホットパンツが来るのだが、生憎文化祭の準備中だ
「しかし本当にディエゴと回るのかよナマエ、アイツきっとセクハラしてくるぜ?」
「ディエゴがセクハラするのは熟女だけでしょ、アイツきっと熟女好きだし」
「いや、勝手に熟女好きにするなよ……」
私とジャイロが話す中、ジョニィはボーッとしながら私達の後ろを歩いている
何か悩み事でもあるのかと思ったが、なんだか聞くのは気が引けたのでそのままにしておいた
それから、しばらくそんな日が続いて、あっという間に文化祭当日だ、私は宣言通りディエゴと回る事になってしまったが別に特別な理由なんてない
「待たせたなナマエ……」
「……ディエゴ、どうしたの?なんかボロボロだけど……不良に絡まれた?」
「実は……いや、なんでもない、回ろう」
「…………そっか」
何故かボロボロで待ち合わせ場所に来たディエゴに少し疑問を感じたがそのまま二人で歩く
たこ焼きに焼き鳥、クレープ等……無難な物が立ち並ぶ通りを素通りして校舎内に入る
それぞれの教室では、宣伝していた通りの出し物をして賑わっている
「お化け屋敷……ナマエは苦手だったか?」
「……いや、別に、苦手なのは弱虫ジョニィだよ、私じゃない」
「……そうか、ナマエは苦手じゃなかったか……なら行くか?」
「いいよ」
ディエゴと簡単な会話をして、私達はお化け屋敷のある三階へ向かう
待っている間、キャーだのウワーだの色々悲鳴が聞こえるが、特に恐怖心は煽られない
そして私達の順番が来た、ディエゴの袖を掴み、そのまま暗い道を進む事にした