Short2

□館内、私語厳禁。
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私が通う大学から少し離れたところにある、少し小さいが、本のレパートリーは地元では一番だと言われてる図書館

その図書館が私は好きだ、沢山の本に囲まれて、静かな空間で文字と戯れるのだ

今日もまた、大学でのちょっとしたストレスを発散するために図書館に向かう

少し重い扉を開けると、人は数える程度しかいない、そんな中、一人だけ目立つ体格をした青年を見つけた

ジョナサン・ジョースター、確かラグビー部で考古学を学んでいる同級生だ、彼とは一度軽く話した事はあるがなかなかの好印象だったのを覚えている

ジョナサンはおそらく考古学の本を探しているのか、大きい身体を屈めて本の背表紙をなぞっている

そんなジョナサンに私は時々読んでいる考古学の本を棚から取り出して、ジョナサンの方に向かって歩いた

ポンッと、軽くジョナサンの頭に本を乗せると、ジョナサンは一瞬ビクリと身体を揺らしたが、顔を上げて私の方を見るとポカンと気の抜けた顔になった


「ええっと……君は……」

「久しぶりジョナサン……と言っても覚えてないかな?ナマエだよ」

「……あっ!!ごめんごめん、久しぶりナマエ」


ダメ元で名前を言ってみると、どうやらジョナサンも覚えていたようで、慌てて屈めていた身体を起こして私を見下ろした

相変わらず大きいな……と、思いながら、持っていた本をジョナサンに渡す


「もし考古学の本を探しているならこれが一番詳しく書いてあると思うよ」


そう言うとジョナサンは本と私を交互に見て


「ナマエは……よくこの図書館に来るの?」


と、聞いてきた、そんなジョナサンの問いに、ゆっくりと頷く


「……もしかして、考古学分かる?」

「……まあ、少しは?」


ジョナサンは少し眉毛を下げながら聞いてきた、そんなジョナサンの言葉に私は頭を掻きながら答える

すると、ジョナサンは元々持ってきていたのか、ノートを取り出して、あるページを開いた


「ここ……分かるかい?」


そう言われ、ノートを見てみると、丁度私が得意な部分が書いてあった

どうやらジョナサンはここが苦手なようで、何度も文字を消した跡がある


「まあ、この辺は……得意な方かな?」


そう言うと、ジョナサンは目を輝かせて私の手を優しく掴み


「すまないけど、勉強の手伝いをしてくれないかい?」


と、言った、ジョナサンの言葉に私は特にやることがなかったのですぐに頷いた

するとジョナサンはとても嬉しそうな顔をして私に礼を言った

どうやら、そこだけが分からないようで、他はほぼ完璧にできていた


「ここは……このページに書いてあるよ」

「あ……本当だ見落としていたよ……」


ページのある一部分を見つめながら困ったように笑うジョナサンを見て、私はまた本に意識を向けた


「む……ジョォジョォ、一体何をしているんだァ?ナマエもそんな険しい顔をして」


本に集中しているからか、図書館で話す誰かの声が遠くに聞こえる

図書館では私語は禁止だということを分からないのか?

そう思いながら、ジョナサンが分からないと言った部分のページを探す

ジョナサンは私が探している間、丁寧にノートに文字を書くのだ


「あ……あった、ほら、ここ見たらいいよ」

「わぁ……凄いねナマエ」

「……褒めても何も出ないよ」

「ンッンー……なんだか今は気分がいい、ジョジョ、早くラグビーをしようじゃあないか」


ジョナサンは私を凄いと言ったが、私はその言葉を軽く返す

本当はありがとうの一言も言いたいところだが、なんだか照れてしまって言えない

そんな事を思いながらジョナサンに教え続けた

結果、ジョナサンは苦手を克服できそうなようで、喜んでいた、そんなジョナサンの顔を見て私も少し嬉しくなってしまう


「ジョジョ、知っているか?ナマエがこうやって勉強を教えるのは初めてではない……初めての相手はこのディオだァーッ!!」

「ありがとうナマエ、本当に……なんてお礼を言ったらいいか」

「大袈裟だよジョナサン」

「でも、本当に助かった……もしナマエが何か困った事があったらいつでも言ってくれていいからね?」

「うん……ありがとう」


ジョナサンとそう言い合って、本を元の場所に戻す

外はすっかり夜だったが、ジョナサンが送って行くと行ってくれたので安心だ


「…………」

「あれ?ディオ、どうしたんだい?」

「あ、久しぶりディオ」


図書館を出る時、出入り口の扉の前にディオが何かつまらなさそうな顔をして立っていた

ディオには以前、ジョナサンと同じように勉強を教えてあげた事があるので、顔見知りだ

今となっては頭のいい彼が何故私なんかに勉強を教えて欲しいと頼んできたのは謎だが、完璧な人間なんていないので深く考えるのはやめる

それから、よくも無視したな、この汚らしい阿呆が!!などと、叫ぶディオとジョナサンに送ってもらい、私は玄関で二人と別れた

結局、ディオがなぜあんなにも怒っていたのかは分からなかったが、ジョナサンの手助けができてよかったと思う

今日のことを振り返りながら、私はまた、寝る前に読む小説を栞の部分から読み始めた

やはり、本というものは面白い
 

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