Short2

□二人の姿が目に染みる
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夕暮れが綺麗に廊下に差し込んだ頃、女子生徒達を撒いてきたのか承太郎がナマエを連れてようやく来た、こんな状況がもう数日続いている

今なら誰もいなくて、更には夕暮れも綺麗な最高のムードなのに二人は相変わらず距離を開けたままだ

僕はまたかと溜め息をつきながら二人について行く、帰り道も特に当たり障りない会話をしている


「……ここは僕が何とかしないといけないんだろう?承太郎」

「なあ、ナマエ……」

「ん?なに承太郎?」

「…………なんでもねぇ、気にするな」

「承太郎……仕方ないな……僕がキッカケを作ってあげよう」


あんなにオラオラ系の承太郎がナマエを前にすると奥手になるのに笑いをこらえながらそう呟いて僕は物を間に挟み承太郎の背中を強めに押した

どうやら完全に油断していたようで、承太郎は少し声を出しながらナマエを巻き込んで塀に両手を付いた


「わ……悪い!!」

「べ……別に大丈夫……!!」

「ダメだ承太郎、ナマエに告白するまでこのままだよ」

「??……なんで退けねぇんだ?」

「承太郎?……大丈夫?」


承太郎は流石に怪しいと感じたのか、微かにスタープラチナを出しながらも疑問符を出していた、そんな承太郎をナマエは心配そうに見つめる

そして、ようやく僕の思いが届いたのか、承太郎は退くのをやめてナマエを見下ろした

なんとなく承太郎の顔が赤いのは気のせいではないだろう、僕が告白するわけでもないのに何故かドキドキとしてしまう


「……ナマエ……いきなりで悪いが……俺は……」

「承太郎……やめてよ……」

「…………お前が花京院の事を忘れないのは分かっている、だが……だからこそ、俺はお前に言いたい」

「…………承太郎……」

「頼む、聞いてくれ……俺はお前がずっと好きだったんだ……あの旅でお前は大怪我を負ったよな、あの時の気持ちにはもう会いたくないんだ……だから……頼む、俺と付き合ってくれ」

「…………」


……何と言うか……聞いてるこちらがとてつもなく恥ずかしくなる感じだが、ナマエが承太郎の背中に手を回しているのを見て二人をくっつけさせるのに成功したようだ

これで僕は心置きなく成仏できるだろう……そう思いながら僕は押さえていた承太郎の背中から手を離す、そして二人の肩に手を置こうとした、が、スルリとすり抜けてしまった

僕は透けている自分の手を見ながら自嘲的に笑ってしまった

……なんかおかしいぞ、二人を付き合わせる事に成功したのに、なんで僕は心から喜べないんだろうか……ナマエが僕の事を好いていたのはなんとなく分かっていた……でも僕は死んでしまったから、だから承太郎に譲ったのに……

なんで僕はこんなに悲しんだろうか……なんで僕はナマエの隣にいる承太郎の事が羨ましく思ってしまっているんだろうか

ぎこちなく手を繋ぎながら道を歩く二人を見つめながら僕は違和感の事をずっと考えていた、そして、二人の姿が小さくなった時、理由が分かった


「僕は……ナマエと承太郎を付き合わせたかった……でも、それ以上にナマエとまた話したかった……ナマエに好きと伝えたかったんだ……!!」


ようやく自分の気持ちが分かったがもう遅い、二人を付き合わせたのは僕だし、なにより死んでしまって僕にはナマエを抱き締める体がない……

僕は涙を流しながら二人を見送り、もう一度自嘲的に笑った

なんて馬鹿なのだろうと、そう呟いた時、DIOに殺された時のように僕はゆっくりと目を瞑った
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