Short2
□変わらない笑顔
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(ポルナレフ視点)
ディアボロと戦ってから私は亀の中に入りなんとか生き残れた
幽霊となったが、私はジョルノを影で支える事にし、今もサポート役に回っている
亀の中に住みながら、様々な人物の資料をまとめていると、急に視界が暗くなった
どこかのスタンド使いでも襲って来たのかと一瞬警戒したが、その後の声を聞いてその考えはどこかへ飛んで行った
「だーれだ!!」
私の背後からそう声が聞こえ、一瞬驚いたが、俺は密かに口元を緩ませて、目を防がれたまま口を開く
「ナマエ……か?」
そう言うと、パッと手が退けられた、そして振り向くと、私の後ろにはあのエジプトの旅の仲間、ナマエがニコニコ笑いながら立っていた
「なんでナマエがここに?」
「ヘヘヘ……なんとなく……かな?」
「遠かっただろ?」
「全然平気だよ」
私はそれを見て驚きながらナマエに聞いてみた、するとナマエはヘラヘラと笑いそう答えてきた
ナマエの声に私は何年か前のエジプトの旅を思い出す
ナマエは私と違ってあの頃とは全く変わってない
「ナマエ、お茶でも飲んでいくか?」
「えー?いいの?じゃあもらうよ」
「ああ、少し待っていてくれ」
ナマエにそう言って、私はジョルノを呼んで、お茶を二つ煎れてもらった、その時、ジョルノはナマエに、素っ気ない態度を取ったが仕方ないだろう、アイツも忙しいのだから
ジョルノの事を謝りながらナマエにカップを渡すと、全く気にしてない様子で受け取り、冷ましているのかカップを両手で包み込んだ
「そう言えば、この間承太郎が私の所に来たの」
「そうか……元気だったか?承太郎は」
「うん、波紋の呼吸でもしてるのかと思うぐらい若いよ」
「そう言うナマエも全く変わってないぞ」
「またポルナレフったら、そういう所は私と会った時と何も変わってないね」
「変わったさ……少し涙脆くなった」
「おじいちゃんみたいなこと言わないでよ」
そう言い合いながら、私は紅茶を飲む、ナマエはまだ口をつけている様子は無い、少し疑問に思ったが、ナマエが猫舌だと言う事を思い出し勝手に納得した
ナマエはあの頃と全く変わってなくて、なんだか少し悲しくなった
「……本当、歳取ったねポルナレフ」
「ああ……ナマエ、お前が来たってことは……もしかして私もそろそろ死ぬのか?」
ナマエの言葉に俺は今まで言いたくなかった言葉を言った
ナマエはそんな私の言葉を聞いて、少し困ったように笑って、一回も口をつけていないカップを机の上に置いた
「それは違うよポルナレフ、私はただ単にアンタに会いたかっただけ」
「……そうか……花京院とアヴドゥルとイギーは元気か?」
「うん、相変わらず仲が良すぎて……困ったものだよ」
私はいつもの調子でナマエにあの三人の事を聞く、三人ともあのエジプトの旅で死んだ仲間達だ
もちろん、目の前にいるナマエも、あのエジプトの旅で死んだ筈の人間だ
「ポルナレフ、アンタまだ私達の事引きずってんの?」
「……ああ……特にナマエ、お前を殺したのは私みたいなものだからな」
「あれはDIOの攻撃でしょう?私が勝手にアンタを庇っただけ」
「だが……俺は……ッ」
「ポルナレフ一人称戻ってるよ、折角のダンディなポルナレフが台無しだよ」
「……だが……だがお前をDIOの攻撃に巻き込んだのは……お……私だ!!」
いつもの調子で微笑んでくるナマエに私はそう叫んだ、一瞬また一人称が戻りそうになったが、グッと堪えた
だが、私の声を聞いてもナマエは困ったように笑うだけだった
「ポルナレフ……アンタって本当に優し過ぎるよね……ッ普通、そこまで気負わないよ……ッだからアンタは両足なくしちゃうんだよ」
「ナマエ……」
「ポルナレフ、私もさ……死ぬのは怖かった……ッでも、だからこそ、私の最期を見届けてくれたポルナレフに意志を継いで欲しいの……ッだからそんなこと言わないでよ……」
ナマエはそう言うと、目に溜め込んだ涙をポロポロ流した
私はただ、そんなナマエの泣き顔を呆然と眺める事しかできなかった
「……ナマエ……悪かった」
「ポルナレフ……私達の分まで長生きしないと、花京院がエルボー喰らわすって言ってたよ」
「ハハハッ……それは痛そうだ」
「……ポルナレフ、私はさ、楽しかったよあのエジプトの旅、DIOには負けちゃったけど、私は後悔なんて微塵もないから」
「ああ……分かってる……ッだけど、少しだけ抱き締めさせてくれないか?」
「……本当、おじいちゃんみたいなこと言わないでよね……私まで涙脆くなってきたよ……ッ」
ナマエに抱き締めていいか聞きながらナマエの背中に腕を回す
私も魂だけだからか、ナマエには触れれた、だが、ナマエの体は冷たくて、ほんのりと熱がある私とは違った
「ナマエ、ありがとう……すまなかった……ッ」
「うん……ポルナレフ、私達の分まで人生を楽しんでよね」
「ああ……約束しよう」
ナマエと長生きをすると約束をすると、ナマエはどんどん透けていった
そして、最後に私の額にキスを落とすと、ゆっくりと空に消えていった
幻覚でも見ていたのかと思ったが、口を一切付けていないコップが、机の上に置いてあるのを見て、幻覚ではない事を理解した