Short2

□重ね合わせて
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最近、銀さんが私を見る度、悲しい顔をして視線を逸らす

なぜそんなにも悲しい顔をするのか、一度聞いてみたが、笑って誤魔化された

だが、明らかに何かを隠しているのは分かった、これでもカンは鋭いほうだと夜兎族の神楽ちゃんも保証している


「なにか気に障ることでもしちゃったかなぁ……」


そう呟きながら、洗濯物を畳む、最近は雨が降り続いてジメジメしている中で部屋干ししないといけないので、なんだか気分も下がっていく気がする

静かに溜め息をつきながら私はリビングに向かった

今は神楽と新八は揃って出かけていて銀さんと二人っきりだ、この状況下、気まずい事この上ないのだが……

少し小さく深呼吸をしてから、私はリビングに続く引き戸を開けた

私の今の悩みの種……銀さんはソファーでジャンプを顔に被せて寝ている


「……ハァ……もしかして銀さん私の事嫌いなのかな?」


思わずそう呟いてしまった、確かに万事屋メンバーではあまり戦力にはならないけど……家事とかそういうのは皆より頑張ってるし……

思わず新八君と神楽ちゃんの運動神経の凄さを思い浮かべてしまう

それに比べて私はあまり運動神経は良くないし……もしかして、銀さんはそれが嫌なのかもしれない

元々、めんどくさがりだから、戦えない私はただのお荷物なのかもしれない……


「……あー……ネガティブになっていく……」


銀さんとは反対側のソファーに座り、思わずそう呟く、背中を完全にソファーに預けて天井を眺める


「……積極的にポジティブに考えなくちゃあね……」


ふと、木目が人の顔に見え、その木目に向かってそう言う

自分に言い聞かせるためかもしれないが、今はなんとなく一人は嫌だった

でも、返事なんて来るはずも無く、思わず乾いた笑いが溢れてしまった、その時、反対側にいる銀さんが寝返りをうつためかモゾモゾと動き出した


「あっ!!落ちる!!」


動き出したのはいいが、ソファーが狭いせいか、銀さんが落ちそうだった、私は慌てて銀さんを支えるため、背中に手を回す

そして、少し強めに触ってしまったからか、銀さんは薄らと目を開けた


「あ……ごめん、起こしちゃった……?」


まだ寝惚けている銀さんに控え目にそう言うと、銀さんは急に私の首に腕を回してきた

そんな銀さんの行動に驚いていると、銀さんは私の肩あたりにギュッと頭をつけて


「……せ、んせ……」


と、小さく呟いた、そんな銀さんの言葉に思わず目を見開いてしまう

驚いてしまっているためか、動けない私を銀さんは甘えるように擦り寄りながら抱きしめる

銀さんの言った、先生が誰だか分からないけど、おそらく大切な人物なのだろう……

私は少しでも銀さんの悲しみを拭いてあげたくて、何も言わず、銀さんの背中に手を回し、ポンポンと優しく叩いた

そんな私の行動に銀さんは驚いたように肩をビクつかせたが、すぐに大人しくなった


「先、生……」

「……」

「せんせ……ごめん……」


銀さんはひたすら先生に謝っていた、私がポンポンと背中を叩くにつれて、銀さんはポロポロと涙を流して少しずつ力強く抱きしめてくる

そして、しばらく抱きしめ合っていると、銀さんがピタリと固まったように動かなくなった


「……?銀さん?」


思わず銀さんの方に顔を向けてそう言うと、銀さんは慌てたように私の肩を掴み、腕を限界まで伸ばした

必然、私と銀さんは離れる

一体どうしたのかと目を白黒させていると、銀さんは焦ったように


「ナマエ……悪い」


と、言って、頭をガシガシと掻いた、おそらく目が完全に覚めたのだろう

少し残念と思いつつ、銀さんに大丈夫だと伝え、立ち上がる


「そうだなァ……最近なんで私を見て悲しい顔をするのか、少し教えてくれるならいいよ」


伸びをしながらそう言うと、銀さんは少し驚いたように声を上げたが、またすぐに照れたように頭をガシガシと掻いた

そして、しばらくして、銀さんは口を開いた


「なんつーか……ナマエの髪の毛とか……表情とか、動きとか……俺の先生に似てんだよ」

「……そっか」


私が思っていた通り、銀さんは尊敬していると思われる先生と私を重ね合わせていたのだ

怒るにも怒れなく、私は銀さんの隣に座って


「……どれだけ重ね合わせてもいいけどさ……時々は私を見てよね」


と、言った、すると銀さんは一瞬目を見開いたがすぐにいつもの死んだ魚の目に戻り

ああ……と短く返事をした、重ね合わされるのはいいけど、たまには私個人を見て欲しい、だって、一応私の上司なんだから
 

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