Short2

□止まる音
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(高杉視点)


「おい……ナマエ……?」


力が抜けたナマエの手をゆっくりと持ち上げて名前を呼んだ

だが、返事はおろかナマエは目を開けない

俺はゆっくりとナマエを抱き締めた、どんどん熱が無くなっていくのが分かる


「嘘だろ……ナマエ……」


熱が無くなるのを止めるように名前を呼んでも変わらない

ナマエはいつも俺の傍にいてくれた、俺が無茶をすれば横でギャアギャアと騒ぎ止めて……

でも、ナマエがいる事が俺にとっての日常だった、毎日笑って笑って……

そんな幸せな日常がたった今崩れた……


「俺ァ……お前がいない世界でどう生きていけばいいんだよ……」


答えもしないナマエだった物に聞く、当たり前のように返事がないのが俺の胸に突き刺さる

ナマエが居なくては俺はどうにかなりそうだ、だが今は感情が高ぶり、涙を流すことしかできない

ただ、冷たくなっていくナマエを見ている事しかできないのだ


「……ナマエ、今までありがとうな……」


最後にナマエに礼を言うが口が震えて上手く声が出ない

それを誤魔化すようにナマエの頬を撫でる

ゆっくりと抱き寄せると普通ならドクドクと心臓の音が聞こえるのに聞こえない、ただ残酷な無音だけが俺の耳に入ってくる


「……ククッ……本当に大切な物は失ってから気付くって本当だったんだな……」


自嘲じみた笑いをして俺は静かにそう言う、いつもならナマエが俺にツッコミを入れるが何も聞こえない

この静かな空間に俺はどれくらいで慣れるのだろうか、もしかしたら一生慣れないのではないかと考える

それほどナマエと言う存在は俺の重要な人物だったのだ


「……これが好きって事か?」


思わず自分に問うようにそう呟く、そして最後に俺はまた自嘲じみた笑いをしてナマエと共に拠点へ戻った

ナマエは身を清め、しっかりと埋葬した

不思議と涙は出てこなかったが、一人でいるとふとナマエを思い出してしまい涙が出る


「…………」


俺は静かに自分の胸に手を当ててドクドクと鳴る心臓の音を聞いた

これが聞こえなくなる時、俺はきっとナマエに会えるだろう

今はそう思いながら生きて行く事にする
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