Short2

□放置系彼女
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(銀時視点)


俺の彼女はなにかと仕事熱心だ

万事屋の金も計画的に振り分けるし、最近は別の場所で仕事をしている

女に仕事をやらせるなんて男として恥ずかしいが、一度止めたらしばらくおやつを抜きにされ、数日間のシカト攻撃が来た

それから仕事命のナマエの楽しみを奪う気も無くなり、俺はナマエを好きなようにやらせているつもりだ

だが、いくら仕事命でも付き合っているんだから少しは構ってほしい

例えばそう、つい数日前のこと……


「ナマエ〜ちょっと聞いてくれよこの間の依頼主がよ……」

「ごめん、今書類片付けているところ」

「あ、ごめんな」


依頼主にまた同じ依頼を頼まれた事を言おうと思い、ナマエに近付くと仕事をしながらナマエは俺の方を一回も見ずに謝ってきた

謝っていても視線はパソコンだ……

そんなナマエの隣で仕事が終わるのを待っていると


「あ、銀時、ちょっと遅くなりそうだから、晩ご飯の具材買ってきて」


と、言われ俺は結局買いに行った、そして帰ってくると


「遅かったねぇ〜」


と、言い、神楽と遊んでいるナマエがいた、そんな事をもう二、三度繰り返されている

ここで一度復習しよう、今、俺とナマエは付き合っている、彼氏と彼女だ

なのになんで俺はこんなに惨めなんだ……!!

俺はそう思いながら向かいのソファーに座っているナマエに目を向ける

今は完全にオフモードで髪を下ろしてお茶を啜っている

今ならオフモードだし、俺の権限を覚えさせれるんじゃないのか?

ふとそう思い、俺は実行する事にした、仮にも彼氏、彼女よりは強い立場でいたい

よっこいせ……と、言いながら立ち上がり、自然にナマエの隣に座る、そしてナマエの方を向いて名前を呼ぼうとした瞬間


「さて、そろそろ仕事するかな」


と、言いながらナマエは立ち上がり、髪の毛を縛った

……え?俺の事スルー!?アウトオブ眼中?いやいやいや、俺ナマエの彼氏!!

ナマエの行動に動揺しまくり、俺は思わず涙が出そうになる


「ちょっ……そりゃないんじゃないの?」


思わずそう言い、ナマエの手を掴む、ナマエはそれでも俺の方は見ない

もしかして……ナマエ、実は俺の事が嫌いなのか?

素っ気ない態度に思わずそう思ってしまう、そんな俺にナマエは顔も向けずに


「仕事しなくちゃいけないから、離して」


と、冷たく言い放った、その一言に俺は頭に来るどころかショックを受けた

ナマエは俺がこんなに構って欲しいのに素っ気ない態度、おまけに顔も見てくれないと来た

……これは完全に俺が一人で勘違いをしていた事になる


「…………なあ、お前、俺と一緒にいて楽しいか?」


思わずそう言ってしまう、答えは聞きたくないのに質問をしてしまった、矛盾しているのは分かっている、でも聞くしかなくて……ナマエの素直な気持ちが知りたくて……

そんな俺の質問にナマエはようやく俺の方を見て


「なんでそんなこと聞くの?」


と、少し強めに言ってきた

ナマエの言葉に俺は少し俯きながら


「……お前、俺といても仕事仕事で構ってくれないって言うか……なんか、明らかに避けてる……」


と、今まで感じていた気持ちをポツポツとゆっくり言った

するとナマエは一言、馬鹿じゃないのと呟いた

本気で心配しているのにそりゃねぇんじゃねぇの?と思い顔を上げると


「別に私は銀時の事が嫌いな訳じゃない……」


と、若干頬を染めてナマエはそう言ってきた、そんな表情に思わず目を見開いて驚いていると


「……その……恥ずかしいんだけど、なんか、知んないけど……恥ずかしい、銀時が悪い、死ね」


と、なぜかキレながらもそう言ってきた

え?なにそれ?つまりツンデレって事か?何この子……リアルなツンデレ?いやでも……いや、ツンデレだ……!!

若干頭の中がパニックになったが俺は思わず笑いながら


「それならそうと早く言えよな、ツンデレナマエちゃん」


と、嫌味っぽく言い返した、するとナマエは俺の言葉に少し目尻を上げながら


「誰がツンデレだ」


と、言い返して本当に仕事を始めた、俺はそんなナマエを見て


「こりゃ、ツンデレじゃねぇな……放置系女子だ」


と、呟いた

でも少しはこの距離感を居心地が良いと感じる、ナマエはこんだけ俺の事を考えているって事だろうから……

あー……でも、なんだかんだ言っても少しは構って欲しいかも……
 

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