Short2

□特等席から
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(新八視点)


平日の朝、皆が仕事や学校に行くために起きなければならない時、誰もが一度は朝なんて来なければいいと考えたと思う

でも、僕は高校三年に、なって……高校三年の時、そんな考えが吹き飛んだ

授業中、窓から風が吹くと決まって揺れる君の髪、午後の授業は少し眠そうにノートを取る君の目、全てが違って見えた

ナマエさん、それが彼女の名前

僕はそのナマエさんの隣の席……


「漫画で良くあるパターンだよ……」


思わずそう呟いてしまう、隣の席だから少し視線をずらせば間近で見える

そんなナマエさんに僕は心を奪われてしまったのだ

何と言うか……僕はこんなにも簡単な男だったのかと気が滅入る……お通ちゃんがいればそれでいいとか考えていた時期もある……

そんな僕が、隣の席の女の子に惚れるなんて……


「ハァ……」


思わず肘をつき、溜め息をついてしまう

チラリと横を見れば昨晩はよく眠れなかったのか朝から少し眠そうなナマエさんの横顔が見える

今思えば、僕は最近ナマエさんの事ばかり考えている気がする

廊下を歩いていてもなんとなくナマエさんを探してしまう、帰る時も方向が逆なのについつい探してしまう……


「重症だな……僕も」


思わずそう呟いた瞬間、先生のチョークが飛んできて額に当たった


「いだっ!!」

「おい新八〜さっきから何ブツブツ言ってんだよ、気が散るんだよ」


チョークを投げてきたのは担任の坂田銀八先生……先生の言葉に僕は思わず謝る、クラスの皆はクスクスと笑ってた

少し熱くなる頬の熱を感じていると、近くでもクスクスと笑っている声が聞こえた

思わず視線をずらすとナマエさんが笑っていた

初めて見るかもしれないナマエさんの笑顔に僕はまた一段と頬の熱が高まった

それから休み時間になると、僕は皆から地味に馬鹿にされた、そんな皆の言葉にツッコミを入れているとナマエさんが居ない事に気がついた


「あれ?神楽ちゃん、ナマエさんは?」


思わずさっきまで一緒にいた神楽ちゃんにナマエさんの居場所を聞く、すると神楽ちゃんは早弁をしながら


「ナマエなら、さっき隣のクラスの野郎に呼び出されてたアル……多分告白アルな〜」


と、ニヤニヤと笑いながら言ってきた、その言葉に姉上とさっちゃんさんも参加する


「え?何々?詳しい事聞かせて神楽ちゃん」

「詳しいも何もそのまんまの意味アル」

「で、ナマエは着いて行ったの?」

「着いて行ったアルよ、顔赤くしてたネ」

「へぇ……でもあまり広めない様にしないとね」

「え?何がよ」

「ほら、ナマエちゃん、恥ずかしがり屋じゃない?だからもしそうなっても広めない様にって……」

「そうアルな」

「私も賛成ね」


と、僕を放置して三人で話し出した、その言葉に思わず目を見開いてしまう

僕は今まで隣でずっとナマエさんを見てきたんだ……それを急に出てきた隣のクラスの男子なんかに取られたくない

そう思いながらも、頭の片隅では、僕には関係ない事だ、たかが隣の席、それも片思いしてる側……もし二人が両想いだったら僕はどうなる?

と、思っていた、全く正反対の考えが頭の中を巡っている間に休み時間終了のチャイムが鳴った

僕はそのまま悩みながら席に着いた、一瞬遅れて走ってきたナマエさんも席に着いた、心做しか顔が赤くなっている

僕はその様子を見て聞こえないように静かに溜め息をついた
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