Short2
□もしもシリーズ
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もしも吸血鬼だったら2(銀魂)
パチリと深夜唐突に目が覚めた、そして一瞬にして襲ってくる空腹感に私は思わず溜め息をついた
「……血ィ……」
吸血鬼の様な生活をしてどれぐらい経ったか数えてないが、最近深夜にこうして目が覚める事がある、腹を空かせて目が覚めるので満たすまで熟睡できないのだ
仕方なく体を起こし、今夜の獲物を考える事にした、確か副長は書類処理に追われているのでこの時間は起きているかもしれない、局長と沖田は却下で後は山崎とか原田さん辺りの隊士だ
そもそも屯所内で狙わなくてもいいのではないだろうか、なんて思い付いたが、いつも貰っている銀時には前貰ったばかりなので気が引ける
あと他に候補は誰もいないので私は仕方なく副長から頂戴する事にした
起きていたら寝るまで待つ事にして私はなるべく音を立てずに部屋から出て副長の部屋に向かった
「フフフ……」
襖の隙間から副長を確認すると、副長は机に伏せって寝ていた、どうやら書類処理をしている間に寝てしまったらしい
だがこれは絶好のチャンスだ、これならバレずに血を頂けるだろう
「じゃあ……いただきます……」
そう呟き、私は副長の元へ移動して隊服を二の腕まで捲くり上げ、二の腕に噛み付こうとした時
「…………ん……」
副長が何かを感じ取ったのか、もぞもぞと動き始めた、思わず驚いてしまうがどうやらまだ寝ている様だ
いつ起きるか分からない副長をじっと見つめ様子を見る事にする
「……副長?」
小声で名前を呼んでも反応はなかった事から完全に寝ている事が分かり一安心だ
カプッと不気味に伸びている八重歯を副長の二の腕にぶっ刺して血を吸うとなんとなく生き返る様な気分に襲われ夢中で吸い続ける
「……ッ……あ?……何してやがるナマエ」
「………………」
吸い続けたのがいけなかったのか、何の前触れもなく副長が目を覚ましてしまった
しかし、私の食欲は止まる事を知らず副長が起きてもなお血を吸い続ける、そんな私を見て状況を理解したのか副長は呆れたように口を開いた
「……ナマエ……いい加減にしろ」
「すいません」
「……また発作かよ……」
「えぇ」
副長には一応沖田と同じように発作と言う事になっている、だが夜な夜な私が飲んでいる事は知らないので心の底では動揺しているだろう
副長と話しても吸い続けている私を副長はとうとう堪忍袋の緒が切れたのか私の頭を掴んだ
「どんだけ飲んでんだよ離れろ!!」
「……チッ……じゃあこれで」
「おい、待て待て待て待て、ナマエここに座れ」
副長によって離された私は舌打ちをしながら副長の部屋を後にしようとしたが止められた
更には正座させられて、いわゆるお説教モードにされた、嫌な感じしかしないのは当然か
「……ナマエ、お前まさかいつも夜な夜なこうして俺の血を吸ってたわけじゃないよな?最近朝起きるの辛れェし、なにかと貧血気味だし……テメェのせいじゃねぇよな?」
「…………バレましたか」
「やっぱりか!?いい加減にしろよ!?」
副長の言葉に私は潔く白状した、本当の事を言ったのに何故か私は小一時間説教を食らった
これからは起きているうちに吸ってくれだの、でも二日に一回だの言われた
結果的に一番楽に血が吸える万事屋に行く回数が増えてしまった、やはり吸血鬼も楽じゃない