Short2

□メアリーと一緒
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私が不思議な美術館で死亡してから、私はゲルテナの作品として、不思議な美術館で生活している

美術品だから、どちらかというと前よりはだいぶ楽な生活になっている

ただ、自分の命でもある作品、"幸せを願う女"と言うタイトルの美術品は肌身離さず持ち歩いている

一度、これを落としてしまい、誤って無個性さんに踏まれた時は、変な叫び声を上げて痛みにもがいた

そんな悲劇を二度と起こさないため、私は持ち歩いているのだ

そして、そんな私はかつて不思議な美術館を一緒に出ようとしたメアリーとほとんど一緒にいる


「ナマエ、今日は何する?」


噂をすれば……メアリーはニコニコとしながら私にそう言ってきた

そんなメアリーに私はなんだか妹ができたような気がして、思わず頭に手を置いて


「今日は……散歩でもしよっか」


と、答えた、するとメアリーは嬉しそうに目を瞑り


「うん!!」


と、元気良く返事をした、そんなメアリーにを見て、私もなんだか嬉しくなり、しばらくの間、メアリーの頭を撫でていた

メアリーは本当だったらイヴやギャリーに作品ごと燃やされていてもおかしくないのに、こうして元気に私の前にいる……

イヴとギャリーは、私が死んだあと、一体どんな道のりで、何を思いながら向こうに帰ったのか……

そんな事を最近思っている、だから、今日私が散歩したいと言ったのは私が死んだ所からの道を見たいという少しの好奇心からだった

少しメアリーを騙すようで気が引けたが、私達はゆっくりと美術館を歩いた


「ねぇ、ナマエはこのままずっと、パパの作品として生きていくの?」


唐突にメアリーはそんな事を聞いてきた、気のせいか、若干なにかに怯えるような顔をしている

そんなメアリーの表情に疑問を思い浮かべながらも、メアリーの顔を覗き込み


「どうしてそんな事聞くの?」


と、聞き返してみた


「だって……この先はナマエが死んじゃったところ……なにか気になる事でもあるの?」

「……!!」


聞き返すとメアリーは、少し俯きながら私にそう言った、思いも寄らない言葉に思わず目を大きくしてしまった


「……気になる事か……まぁ、強いて言えば未練かな……?」


自嘲的な笑いをして私はそう言った、そんな私にメアリーは驚いたようにこちら見た


「未練って……ナマエ、向こうの世界がいいの!?」


メアリーは焦ったようにそう言い、私から数歩離れた

そんなメアリーに私は苦笑しながら


「大丈夫だよ、私はどこにも行かない、ずっとメアリーといるから、ただ……私が死んだ後の道が知りたいだけ、ただの好奇心だよ」


と、言い、ついさっきまでメアリーと繋いでいた手、メアリーが離れたせいでそれがなんだか物足りなく、私は手を差し出した

メアリーは私の顔と手を交互に見て、少し戸惑った様子を見せたが、私の手を掴んだ


「ねぇ、ナマエ……向こうの世界に行きたい?」


少し歩いた時、ふと、メアリーがそう言ってきた、そんなメアリーに私は少し驚きながら、繋いでいた手を強く掴んで


「今はあんまり……多分、これからも私はここで暮らしていくよ」


と、答えた、それを聞いてメアリーは安心したような表情を見せて、私に抱き着いてきた


「ナマエ……」

「ん?」


顔を埋めながらメアリーは私の名前を呼んだ、そして


「大好きッ!!」


と、元気な声と共に綺麗な笑顔で私に言ってきた


「私も、大好き!!」


私は直ぐにそう言い返し、自分の死んだ所は見ずにメアリーと来た道を戻った

今はまだ見れない……メアリーにはああ言ったけど、私はまだ迷っている……もし向こうの世界に行けるとしたら……私はどうするのだろう……

今はまだそんな考えがあるから見ない、多分見たら色々な感情がぐちゃぐちゃになって、メアリーを怖がらせたり悲しませたりしてしまうかもしれない

だから私は、このまま美術館で暮らそうと心から決めたら、自分が行けなかった先の道を見る事にする

そんな事を思いながら、私は私達を迎えに来た無個性さんと合流して、三人一緒に皆が待つ部屋に向かった

これが作品になった私の生活、多分これからも変化はほとんど起きない


「ナマエ、おかえり」


密かに決心した私の考えを見抜いていたかのように、メアリーと作品達は私にそう言った

そんな皆に、私は歯を見せて笑いながら


「ただいま」


と、言い、皆の元へ走って行った
 

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