灰色の愛
□第六夜
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ティキに問われてから全く口を開かないアレン・ウォーカーに流石にイラついたのか、ティキは乱暴にアレン・ウォーカーの首を掴み
「答えろ、少年はアレン・ウォーカーか?」
と、もう一度同じ事を言った、それを聞いたリスト檻の囚人、セル・ロロンは震えた声で
「正〜解でございまぁ〜す、こぉ〜いつがアレン・ウォ〜カァ〜」
と、アレン・ウォーカーの代わりに答えた、そして一度檻の中のリストを見て
「デェ〜リィトォ〜」
と、言った、その言葉が私達のイノセンスを壊す時の合図
ティキはすごい勢いでアレン・ウォーカーを引っ張り、左腕を切断した
「じゃあ、まずイノセンスの野郎から逝こうかな……ラルト、それでいいよな」
「異議なしでございまぁす」
眩しい光の中で薄く笑うティキの言葉に、若干セル・ロロンの真似をしながらそう答えた瞬間、高く上がったアレン・ウォーカーの左腕は大きな音を立てて地面に落ちた
そして、ティキはアレン・ウォーカーから手を離すと手袋をつけ直しながら
「知ってた?少年、イノセンスって破壊できんだよ、俺らノアの一族と……千年公はね」
と、言い、アレン・ウォーカーの左腕だったものに近付く
私はその間金色のゴーレムの傍にあったスーマンのイノセンスを拾う
「やめろ……」
「今まで殺して奪ったイノセンスはもう全部壊してる……"ハート"だったらお前らの持ってるイノセンスは全部消滅する、それが当たりのサイン……さて、少年のイノセンスはどうかな?」
何をされるのか察したのか、アレン・ウォーカーは消え入る様な声でやめろと言ったが、ティキはお構いなしにアレン・ウォーカーのイノセンスを見下ろす
そして、ティキは私の方を見て
「ラルトが今持ってるのはスーマンのイノセンス……少年のイノセンスを壊してスーマンのが消滅すりゃ、これが"ハート"だったって事になるんだ」
と、わざわざ説明しながらそう言った、そんな敵に塩を送るような事をしなくてもいいのに……
そう思いながらスーマンのイノセンスを眺める
「ちゃんと見とけよ、ラルト」
「はいはい、分かってますよ」
「……ろッ」
ティキは一度私に言うと、アレン・ウォーカーの言葉を無視して、体を倒しイノセンスに触れた
「やめろォォォォォォォォ!!!!」
アレン・ウォーカーの叫び声と共に機械が壊れる様な大きな音を出してイノセンスは砂になった
「ちぇっ……アレン・ウォーカーのは"ハート"じゃなかったか」
ゆっくりと手の中を見ると、スーマンのイノセンスはキィィィィと耳障りな音を出して光っていた
「ま、大丈夫だってラルト、今回の俺達の仕事は要人の暗殺だし」
そう言いながらティキは私の方を見て
「ラルト、それ壊していいよ」
と、言ってきた、その言葉に私は口角を上げて
「了〜解」
と、答えた、そして少し握っていた手を開いた瞬間
パクンッ
と、気の抜けた音を出して金色のゴーレムは私の手の中にあったイノセンスを食べて、すごいスピードで飛んでいった
「……あれ?」
「……ラルト」
「ありがとう、ティム……」
唖然としている私と、呆然としているティキとは対照的に、少し嬉しそうに呟くアレン・ウォーカーの言葉を聞いて、私は全て理解した
コイツはスーマンのイノセンスだけは守ろうと金色のゴーレムに命令したんだと
そう思うとかなり頭に来た、ただの人間に成り下がった死に損ないが無駄なあがきをして私の仕事を増やしやがって……ッ!!
そんな私の苛立ちに気が付いたのか、ティキは私に一度静止の言葉を言って、AKUMA達に命令をした