灰色の愛
□始まり
2ページ/3ページ
「なぁ聞いた?ラルト昨日急に叫び出したんだって」
「知ってる知ってる!!どこにも外傷は無いのに苦しみ出したんでしょ?」
「やっぱ変な奴だよなラルトって」
部屋に居ても不愉快な声は聞こえてくる
それを塞ぐように毛布をかぶった、それと同時に眠気が襲ってきた
「じゃあ……また五、六時間後に……」
小さく呟いてそのまま寝た
ドクンッ!!
急に心臓が強く脈打った
「うあ"ッ!!あ"あ"あ"あ"!!」
また来た…そう思いながらも痛みを受け入れるように叫ば無いようにする
だが、痛みは容赦無く襲いかかる、耐えきれず叫ぶと院長先生が駆けつけてくれた
そんな日が何日も続き、そして気が付いた……
「私は…………私は……!!」
自分の存在を確信するように呟いた瞬間
「どォも♥ラルト・アメジアちゃン♥」
「ハァッ……ハァッ……」
アノ人が私の頭を撫でて名前を呼んでくれた
「綺麗な色してるねぇ、髪の毛」
「千年公、本当にコイツが俺達の家族なの?」
「ティキぽんは酷いことを言いますネ♥」
他にも小さな女の子と私より年上の男が部屋にいた
「ラルト・アメジア……貴女も神が造み出した十三の子の一人……ノアの遺伝子を持った使徒なのですネ♥」
アノ人はゆっくりとそう言ってくれた、その言葉は私の頭にしっかりと響いた
「今、貴女の内にある憎しみも、悲しみも、苦しみも全て七千年前の真実♥遺伝子に刻み込まれたメモリーなんですヨ♥覚醒は終わりましタ、もう見えるでしょウ?この世界の……正体ガ♥」
「相変わらずだねぇ、千年公」
「じゃあラルトさん?また後ほど家で待ってるぜ?」
そう言い残し、三人はゆっくりと暗闇に消えていった
「この……世界の……正体……」
アノ人の言葉を復唱して確信した……私はノアなのだと
そして、ゆっくりと起き上がり、眠気を覚ますため顔を冷水で洗った
「………………」
ゆっくりと鏡を眺めると額に聖痕がくっきりと出ている
……明日……家に戻ろう……
そう決めてゆっくりと布団に入った