白銀花が咲く夢を見る
□第十訓
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副長について行き辿り着いたのはやはり局長の部屋で、一言言ってから中に入るといつもの局長では考えつかないような顔持ちで局長は座っていた
そして私の方をチラリと見ると小さく溜め息をついたように見えた、きっと色々心配をかけてしまったのだろう、そう思うと自然と私は顔を伏せてしまった
局長の向かいに座ると局長が副長を部屋から出した、副長は少しだけ戸惑っていたがそのまま廊下を歩いて行った
「……連絡ができなかったのは高杉と何か関係があるのか?」
少しだけ間が空いたが局長は確かに私にそう言った、その言葉に思わず銀時に借りている服を強く握ってしまう、これでは皺になってしまうかもしれないなんて思いながら私は腹を括った
「……高杉は私が幕府側に寝返った事が許せなかったみたいで……元々アイツとはこうなるんじゃないかって思ってました」
つらつらと高杉との出来事を話すと局長は少し困ったように頭を掻いた、私はそんな局長に高杉を捕まえれなかった事を謝った
すると局長は気にするなと一言言ってから私が死ななくて良かったと言ってくれた、その言葉にホッとしながら局長に礼を言う
もう聞く事はないようで傷が完全に治るまで安静にするように言われた、もう塞ぎきっているが局長なりの優しさだ
部屋を出る時もう一度礼を言ってから襖を閉めた、廊下を少し歩くと副長が壁にもたれながらタバコを吸っていた
「話は済んだか」
「ええ、あまり怒られなくて意外でした……って言ったら副長が代わりに怒りますよね」
「当たり前だ、近藤さんは何かと甘いからな、それに花無為忘れてるようだがあの日サボってただろ」
「…………あっ」
副長の言葉に思わず喉がひくついた、私が高杉に再会する前確かにサボっていたし呑気にたこ焼きを食べた記憶がある
副長は携帯灰皿にタバコを乱暴に投げ入れて私を見下ろしてきた、それだけでも威圧感が凄まじいのにグッと携帯灰皿ごとタバコを握り潰すので思わず冷や汗が頬を流れた
逃げ出そうと一歩副長から離れるがそれを阻止するように副長が私の肩を掴む、しかし丁度傷口を掴まれたので思わず固く目を瞑ってしまった
「痛ッ……」
「!!もしかして傷口か?」
「……ガッシリいってます……」
「あ……悪い」
副長がグッと力を込めるので思わず声が出てしまった、それに反応して副長が傷口に触れてしまったか聞くが残念傷口を掴んでます、それを伝えると副長は珍しく謝りながら私の肩から手を離した
そしてバツが悪そうに頬を掻きながら説教は怪我が治ってからと言って部屋に向かって行ってしまった
怪我をすると何かと周りの人が優しくなると聞くがどうやら本当らしい、しばらく副長が歩いて行った方向をボーッと見ながら私はしみじみそう思った