白銀花が咲く夢を見る

□第九訓
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「すまないな新八……」

「いえ、確かに銀さん真選組に連絡してないかもしれません……花無為さん二、三日寝てましたから、連絡がなくて心配してるかも……」

「二、三日か……それなら一度やった事あるからあまり心配されないかもしれないな」

「……何したんですか?」

「いやなに、ちょっとトラブってな」


新八に電話の前まで支えてもらい、真選組の番号をかけながらそんな会話をする、以前二、三日連絡をしなかったのはまだ真選組に成りたてだったから連絡する理由が分からなかったのだ

昔の苦い思い出を思い出しながら受話器を耳につけるとすぐに隊士と連絡が取れた、名前を言うと慌てた様子で騒ぎ始め局長や副長の名前を呼び始めた

なんだか嫌な予感がするが今回は仕方ない事だったのだ、副長の説教は程々にしてもらいたいと言う物だ

思わず冷や汗をかいていると隊士の声が消えて、副長の声が受話器から聞こえてきた


「花無為か?」

「あー……お久しぶりです、副長」

「……なにしてた」

「いや、実はあの祭りの時に少々厄介な事になりまして」


高杉に会ったとはあえて言わず副長に言うと溜め息が聞こえた後、後から万事屋に行くと言った、その事を新八に聞くと大丈夫と言ったので祭りの件を詳しく話すために承諾した

なるべく私の素性を知られないような言い訳を作らなければならないが、局長も来ると言ったので局長なら分かってくれるだろう

副長の声の後に受話器を置いて通話を切ると、連絡をしていなかった事を新八が謝り始めたが大丈夫だと言ってまたあの部屋に戻るために支えてもらう事にした


「新八ィ帰ったアル」

「あっちぃ……新八ィ麦茶は冷えてるよな?」


丁度部屋に着いた時そんな気の抜けた二人の声が玄関から響いてきた、それを聞いて新八は私に一言言ってから二人の元へ向かって行った

やはり新八はよく出来た子だと思う、ああ言う子と仲良くすればきっと楽しいのかもしれないな、なんて思いながら私は向こうで話している三人の声を聞いていた

するとしばらくしてパタパタと足音が襖の奥から聞こえてきた、どうやら新八が私の事を言ったようだ銀時か神楽かが私の様子を確認しに来たのだろう、そう思った瞬間スパンと襖が開く軽い音が響いた


「……よう」

「……おう」


私を見下ろす銀時と素っ気ない挨拶を交わすと、リビングにいる神楽が笑いに耐えきれず噴き出した、そんな神楽から隠れる様に銀時は後ろ手で襖を閉めた

ボーッと布団に座る私の向かいに銀時もあぐらをかいて座り始めた、若干銀時の額に汗が付いているのはきっと外が暑い事を表しているのだろう
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