白銀花が咲く夢を見る

□第五訓
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「ここか……」


わざわざ数少ない休みにこうして外出しているのだが私はある場所に来ていた、何度も貰った名刺と大きく掲げてある看板を見比べる

"万事屋銀ちゃん"名刺と看板に一字一句間違えずに書いてあるその名前はやはりもう少し捻った方がいいかと思うがシンプルなのが一番伝わりやすいのかも知れない

ヅラの一件で事情聴取をされていた銀時と再開した訳だがこうして名刺まで渡されてしまったら訪問するしかないだろう、なんとなく少しだけ重たい足取りで階段を登るすぐにインターホンが見えて何も疑わずにそれを押す

ピンポーンッと気の抜けた音が玄関の向こうから聞こえた、その後すぐに中から銀時ではない少年の声がした、多分あの時いたメガネ君だろう


「あっ……えっと……銀さんの友人の……」

「花無為だ、すまないな急に」


玄関が開くと予想通りのメガネ君が出てきた、人の事は言えないがどうやらまだ名前を覚えていないようだったので自分から名前を言った

するとメガネ君は謝りながら私を万事屋の中に招待した、リビングだろうかソファーが二つ向かい合っている、そこに神楽と銀時が一人一つ使い眠っていた


「銀さん起きてくださいよ、ほら神楽ちゃんも」


メガネ君が器用に二人を起こし始めたのを見て思わず苦労してるなと近所のおじいちゃんの瞳をしてしまったが仕方がない

しばしメガネ君を見守っているとノロノロと銀時と神楽が起き上がった、多分このまま放っておくとこの二人は二度寝をし始めるだろうそう思うと小さく溜め息をついてしまった


「んだよぱっつぁん……俺昨日飲み過ぎちまって二日酔いなんだよ……」

「急に起こすなヨいい夢見てたのに」


起こしてもらったのにこの上から目線……何とかならないのかと思いながらメガネ君を見てみたが本人は全く気にしてないようだ

まあ私も寝起きは機嫌が悪いので似たような事は時々やってしまうのだが……人の事がどうとか言える立場ではないな

そんな事を一人で考えていると、大きなアクビをして薄らと涙を浮かべた銀時の目が私を捉えた


「……よう、来たか」

「まあな、名刺渡されたし……」


銀時はいつものように私に素っ気ない態度で手を振りながら言ってきた、コイツはどれだけの年月が経っても変わらないのかと少しだけホッとしたのは秘密だ
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