白銀花が咲く夢を見る

□第二訓
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昨夜は考え事を沢山したせいで朝寝坊をしてしまった、そんな私を見て局長は何かを感じ取ったのか起きてから本当に大丈夫かと何度も聞いてきた

心配症の局長をなだめてから局長に会わないように今日は動く事にした、桂が捕まえられそうなのに局長の集中力を途切らせたくはないのだ

局長に気を付けながら私は今の桂と高杉がどんな事をしているのか調べる事にした、いわば予習という物だ、昔から予習は苦手だったが今の私ならやれる気がする


「花無為さん聞いてるんですか?」

「……あー、聞いてる聞いてる」


やはり昔から苦手な物は大人になっても苦手で、桂と高杉の事を調べようとしたが文字を読んでいる途中で結局力尽きてしまい山崎に助けを求めた

資料室で桂や高杉に関係するファイルを山崎に見せて、それを掻い摘んで説明してもらうと言うスタイルで今は二人の事を予習している

そんな簡単なスタイルでも私の脳ミソはオーバーヒートしてしまい頭から煙が出そうだ、そんな私を見兼ねてか山崎が声を掛けてきたが正直返事をするのも面倒に思えてきた

どうやら私は適当な返事をしたらしく山崎が溜め息をつきながらファイルを置いた、そんな山崎を見ていると少し怒ったようにそっぽを向きながら


「花無為さんがどうしてもって言うからこうして教えてるのになんですかその態度は」


と拗ねたような口調で言ってきた、思わず私は自分の年齢を考えてからそういう行動をして欲しいなと思いながら軽く山崎に謝った

すると山崎は小さく笑って少し休憩にしようと言って資料室の出入口に向かって歩いて行ってしまった、そんな山崎を私は早足で追いかけて廊下を歩いた

自動販売機で山崎はお茶、私はコーヒーを買ってその場で飲む、幸い周りに隊士が居ないので伸び伸びとこの休憩スペースを使えると言う事だ

ブラックコーヒーは飲めないので甘めの微糖のコーヒーを二、三口飲んだ時山崎が小さくあくびしたのが見えた


「……すまない、山崎も疲れているのに私に付き合ってもらって」

「いえ、いいんですよ、それに今のあくびは昨日夜にコーヒー飲んじゃって眠れなかったのが原因なんですから」


山崎にもう一度謝ると山崎は気にしていないように笑いながらあくびの理由を言ってきた、どうやら私が今のを見たのに気付いていたようだ

またお茶を飲み始めた山崎を横目に私は心の中で軽く礼を言ってからもう一度コーヒーを飲んだ


「でも花無為さんが桂達の事を予習するなんて……ちょっと尊敬し直しました」


もうコーヒーが残り半分になった時山崎が私の方を見ながら笑いそう言った、そんな山崎に私は驚くが一つ引っ掛かった単語があった


「"尊敬し直しました"ってなんだ、今まで尊敬してなかったのか」

「あっ!!いえ……そういう訳では……」


山崎に指摘すると焦ったように弁解をし始めるが私はグイッとコーヒーを飲み干してゴミ箱に空になった缶を投げ入れて資料室へ向かって歩き始めた

そんな私を見て山崎は慌てたようにお茶を飲み干してゴミ箱に捨ててから早足で私を追いかけた

行きとは逆の立場になった事を少しだけ面白く感じ少し意地悪をして私は歩くスピードを早めた

だが山崎の手助けもあってか桂と高杉についての事は詳しく理解ができた、これで二人に再会しても恥をかかないで済むだろう
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