白銀花が咲く夢を見る

□真選組上京
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私の状態が安定するまで二人は待っていたり世話を焼いてくれたりした、そのお陰か無事私は布団の中に戻る事が出来た

布団の中から話すという行為はなんとなく申し訳ない気がしたが本人達がそうしてくれと言ってきたので引くにも引けず、布団の中から私が空から落ち川に着水した理由を話す事にした


「えっとですね……私は身寄りのない旅人でして、野宿している時に気が付いたら天人に攫われたらしく船の中でした、しばらく船の中で暮らしていたらその船が事故か何かで爆発してしまって……それから逃げるように飛び降りたんです」


戦争の事は伏せて私は半分本当の嘘をついた、だが旅人辺り以外はほとんど似たようなものなのであまり嫌な思いは正直しなかった

私の理由を聞いて近藤さん……二回目にこの部屋に来た高めに髪の毛を結った男の人が連れてきた人が考えるように手を顎に添えた

ちなみに高めに髪の毛を結った男の人は土方さんだ、私が理由を話す前にありがたい事に二人共自己紹介をしてくれたのだ


「なるほどな……大変だったんだな……あー、えっと……」

「あ……裟維覇花無為です……私の名前は……」

「ああ花無為さん、大変だったんだな」


理由を話す事に専念しすぎてどうやら自己紹介が遅れてしまっていたらしい、無礼な事をしてしまったかもしれない、だが近藤さんは気にしていないように私を気遣う言葉を言ってくれた

そんな優しい近藤さんに甘えるように私はここに落ちてきた時の話を詳しく説明してもらう事にした

どうやらここは剣術を教える道場で、二、三日前の今ぐらいの時間、上空で大きな爆発音が聞こえた直後私がガラクタと共に川に落ちてきた様だ、それからこの道場の女中さんや専属医師に介抱を頼み今に至ると……

近藤さんの説明を聞いて私は手厚い看護に思わず感動してしまった、それに怪我が完治するまでここに居ていいとも言ってくれた


「怪我が治ったらどうするんだ?」


土方さんが急に口を開き私にそう言った、近藤さんもそれが気になっていたようで頷いていた

怪我が治ったら……きっと何ヶ月もかかってしまうのだろう、その間に戦争が終わったら私は本当に身寄りがなくなる

土方さんの言葉に返す言葉もなく思わず俯いてしまった、そんな私を近藤さんは心配そうに見ていたが解決策なんてきっと無い……思わず悲観的な考えをしてしまった時


「テメェ身寄りのない旅人って言ってたよな、剣術はやった事はあるのか?」


と言った土方さんの言葉に私は思わず顔を上げた、どうなんだと聞き続ける土方さんに私はゆっくりと頷くと土方さんはニヤリと口角を上げて


「ならこの道場に入る……なんて言うのはどうだ?」


そうとてつもない提案をしてきた、思わず目を見開いていると近藤さんはそれがいいと乗る気になっている

だが私は正直言ってあまり賛成ではなかった、それは勿論この人達には恩がある、恩がある以上私はこの人達にそれを返さないと先生との約束を破る事になる……だが私は怖かった

右目の事だ、髪の毛はこの二人は気にしていないようだが右目はそうはいかない、この二人に否定されるのを想像してしまい思わずキュッと布団を握り締めてしまう


「……花無為さん……?」


私の異変に気が付いたのか近藤さんが小声で私に声をかけてきてくれた、そんな近藤さんの声に反応するように私は意を決して口を開いた


「私は……今まで様々な人に異常だと言われてきました、この髪の毛や右目の事で……それでも貴方はいいんですか?」


思わず震えてしまったが二人には聞こえた様で半分納得して半分理解していないような表情になった、続けざまに私の右目をどこまで見たのか聞いてみた、すると二人は私の右目の睫毛の部分しか見ていないようで瞳の方は見ていないと言った

だが隠しても隠しても隠し切れない時がいつか来ると思い、私は土方さんの素敵な提案を否定するような事を言ってしまった

これで私はきっと浪人になるだろう、知らない土地だが多分生きて行ける……山賊にはなりたくないなぁ……そんな事を思いながら二人の視線が怖くて目を瞑っていた


「別にテメェの目がどうなっていようが関係ねェよ」


ぶっきら棒にだが確信を持ったような声色で土方さんはそう言った、私はまた土方さんの言葉に目を見開く


「昔の周りがどうとか気にすんな今はテメェの事を聞いてんだよ」


続けざまにそう言う土方さんに私はなんとなく先生や銀時達と似たような物を感じた、近藤さんは土方さんの言葉に頷いて私の方を微笑みながら見ていた


「花無為さん、君は今どうしたい?」


近藤さんが微笑みながらそう言ってきた、私はまた悲観的な事を言いそうになったがそれを飲み込み、また霞み始める視界の中で必死に言葉を出した


「是非……ここに居させてください……ッ」


言葉を完全に言い終わった瞬間、涙腺が崩壊でもしてしまったかのような錯覚に陥る程涙がボロボロと溢れた来た

そんな私を二人は優しい手で慰めてくれた、久しぶりに沢山涙を流す中私はこの人達に最期まで着いて行こうと決心したのだった
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