白銀花が咲く夢を見る

□真選組上京
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チュンチュン……と言うスズメの鳴き声が聞こえ目が覚めた、視界には目一杯の天井が広がり、若干日光が目を刺激するように入ってくる

どうやら人は死んだら布団の中に還る様で、私の体は布団の中で丁寧に寝ていた

もしかすると全てが嘘だったのかもしれない……この後きっとヅラが私を起こしに来ていつも通りの日常が戻ってくるのかも知れない……

そんな淡い期待も左足の痛みや全身にジンジンと来ている鈍痛で全て打ち消された、ならば何故私はこうして痛みを感じているのか、あの高さから落ちて生きれるなんて運が味方してくれたか生命力の問題か……

なんにせよ生きているのは確かだ、ゆっくりと身体を起こすと全身の鈍痛が増すと共に嫌な気だるさを感じた、長時間睡眠をした時のような気だるさだどうやら私は結構寝たきりだったようだ

小さく溜め息をついてしまった時、襖の向こうで廊下を歩く音が聞こえてきた、思わず身構えたが歩き方からして天人ではないのは確かだったので力を抜いた

スーッと静かに襖が開き、日光が容赦なく射し込んでくる、思わず目を細めて見上げるとそこには高めに髪の毛を結った男の人が立っていた


「……目が覚めたか」

「あの……これは……」

「お前が空から船の様なガラクタと一緒に落ちてきてうちの道場の近くの川に着水したんだ……詳しい事はもう一人連れてくるから待ってろ」

「えっ!?着水ッ……あ、ちょっと待って!!」


男の人は淡々と私に説明してから私の静止の言葉も聞かずにさっさと廊下を進んで行ってしまった

ポカンとしながら男の人から聞いた情報を必死に整理する、着水をしたと言っていたのできっと私が生きているのは落ちたのが水場で船の残骸がクッション代わりになったからだと言う理由が分かった

一つ謎が解けたなんて呑気な事を思っている場合ではない、手当もしてくれて助けてくれたのはありがたいがここがどこなのか私は一刻も早く知りたかった

男の人が待っていろと言ったが私は布団を退けて床や壁を使い立ち上がり襖を開けた、目の前には少し広めの敷地が広がっていて男の人が道場と言っていたのを思い出した

一体なんの道場なのかとキョロキョロと辺りを見渡していると、廊下の奥の方から二人分の足音が聞こえた


「戻って来た!!」


きっと私が立ち上がったのが分かると後で色々と厄介だろうと思い、私は慌てて布団に戻る事にした

だが足がもつれてしまいバランスを崩してしまった、倒れる身体を止めようと私は思わず折れている左足で全体重を支えてしまった、人生踏み出しの一歩が肝心だとよく言うのが分かる


「はぁあぁぁああぁぁあ!!!?」


激痛の末、思わず変な叫び声を上げながら私は倒れそうになった、だが私はせめて一歩でも布団に近付こうと思い、激痛でクラクラと目眩がする視界の中身体を布団に向けて倒れた

ボスンッと私の予想では布団に着地する筈が勢いが足りなかった様で、私は顔面から畳に倒れ込んでしまった


「ーーーッ!!!?」


最早叫び声も上げられずただただ全身の痛みと顔面と左足の激痛に悶えていると、襖の端からさっきの男の人ともう一人若干年上の様に見える男の人が驚いたような呆れた表情でこちらを見ていた

きっと高めに髪の毛を結った男の人が連れてくると言っていたのがこの人なのだろうと思いながら、私は涙で霞む視界の中二人を見ていた
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