白銀花が咲く夢を見る
□幼少期
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家を飛び出した私は、死体の山を漁り生活してきた、母親はもういないこれからは自分で生きていくのだ
刀も死体からはぎ取り、浪士などにも会ってももすぐに対処出来るようにした
ある日いつも通り死体を漁っていた時、急に人の声がした
「君は…いつも死体の山を漁って生活してるのですか?」
「!!!?…………誰?……」
慌てて振り返りながらそう言うとその人は驚いた顔をした
「その声…女の子…?」
「…………うん」
その人は少しだけ目を見開いて私の性別を聞いてきた、それに嘘をつく必要もないのでゆっくりと答える
その人は私の答えを聞くととても辛そうな顔をした、もしかしたら体調でも悪いのだろうか
普段ならさっさと逃げ出すのだがその人を前になんとなく逃げ出すのは出来なかった
「怖くないのかい?独りで…」
「……お母さんが消えろって言ってた…だから、別に……」
「!?……そうかい…辛かったね…」
その人はまた質問をしてきた、それに答えると、また驚いた顔をしてすぐに悲しい顔をした
よく表情が変わる人だ……なんて思っているとその人はまた私に質問した、どうやら質問も多い人みたいだ
「なんで、髪の毛が白いんですか?」
「…………元から………」
「そうか…」
あまり答えたくはなかったが私は答える事にした、目の事は包帯をまいているので質問されないだろう、私の答えを聞いてからその人は少し考えたような顔をして
「どうだい?君…私のところに来ないか?」
「なんで?」
急に手を出しながらそう言ってきた、普通に謎に思い今度は私が聞き返すとその人はニコリと笑い
「その刀の使い方知っているかい?」
と私の刀に指さして言ってきた、何故ここで刀が出てくるのだろう、そう思ったが私は首を振った
「……知らない…」
刀の使い方は斬る、それだけだがその人が聞いている事はそう言う事ではないのはなんとなく分かった
私の答えを聞いてからその人は手を差し出した、ますます訳が分らなくなり首を傾げていると
「着いておいで、その刀の本当の使い方を教えてあげます……それに、本当の人の生活の仕方も……」
と驚く事を言ってきた、私は思わず目を見開いてその人を見上げる、その人は相変わらず笑っている
「……本当の……人の生活の仕方……?」
「どうですか?ついてくるかい?」
正直言うと迷った……この人もお母さんと同じ事するのでは…?と、化け物と罵り暴力を振るうあのお母さんのように……
ただ……一つだけお母さんと違った事があった、この人の目はお母さんとは違う、真っ直ぐとした鋭い目なのに、どこか優しさがある……そんな目だ
この人なら……この人の事なら信じられるかもしれない、そう思った私は
「……いいよ、ついてく…」
そう言い死体から離れてその人の隣を歩いた、しかしその人は隣を歩いた私が気に食わなかったのか苦笑いをしながら私の方を見て
「ほら、手を出して?」
と言いながら刀を持っていない私の手をやんわりと掴み、自分の手を差し出した
「……?」
その意味が分からずとりあえず、掴まれた手を動かしているとその人は手を重ねてきた
「……ッ!!!!」
初めての感触だった、人と手を繋いだ事なんて無かった、それから私は嬉しくて、泣きながらその人の家に向かった