灰色の愛

□第十八夜
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蝋燭に囲まれているせいか動かないアレン・ウォーカーに、ティキを抱き寄せたままロードは話しかける


「動かないでねぇアレーン、僕の蝋燭が凄く痛いのはその左目が覚えてるでしょぉ〜?あっちの人間や可愛いリナリーが見るも無惨な姿になって欲しくなかったら、"ラビ"が僕に壊されるのをじっと待ってて」


そう言いながらロードは舌を出して薄く笑った、そんなロードを見てアレン・ウォーカーは奥歯を噛み締めていた

私はティキを失った事で涙が一滴流れてしまった、それを見てロードは私の頭をゆっくりと撫でた

その時ラビが入っていた箱が開く音がした、ラビがロードに勝った訳はないので、どうやらラビは心が壊れたようだ

静かにアレン・ウォーカーの後に降り立つラビを見て、アレン・ウォーカーは少し驚いたような顔をしていた


「ラ……ラビ……?」

「アレン、悲しいお知らせが届いたよぉ……"ラビ"の精神が今、死んじゃったみたい、さぁ、リナリーと人間を助けたかったらそれを殺さなきゃね、アレン」

「ッ!!」


ロードはアレン・ウォーカーにラビを殺せと伝えた、それを聞いてアレン・ウォーカーは目を見開いた、よく見てみるとラビの目の下には何かの模様がついていた

それがなんなのか気になったが、ラビがアレン・ウォーカーに向かって駆け出したのでどうでも良くなった

手加減もなにもせずに本気でアレン・ウォーカーに攻撃をするラビに為すすべもなくアレン・ウォーカーは攻撃を受け続ける


「……ロード、アレがラビの本心ってこと?」

「うん、そぉだよラルト、心が死んだからねぇ」

「へぇ……やっぱり人間ってバカみたい」


私とロードがそう言い合った時、アレン・ウォーカーがあの退魔の剣でラビを突き刺した

だがティキの時のようにはいかず、ラビはそのままアレン・ウォーカーを殴った


「殺さずの退魔の剣じゃ効かないよー?ラビは"心"を失っただけで魔が憑いたワケじゃないからね?攻撃するならッ爪の左手にしなきゃアレン!!」


アレン・ウォーカーの行動をロードは嘲笑いながらそう言い放った、そしていつまでもラビに攻撃しないアレン・ウォーカーに対してロードは蝋燭の形状を鋭くした

そして、爪の武器にしないとリナリーとチャオジーを殺すとアレン・ウォーカーに伝えた、それでもアレン・ウォーカーは攻撃を防ぐだけだ

ラビに壁に叩きつけられても、アレン・ウォーカーは攻撃をしない、いい加減一発でも殴ればいいのにそれどころかラビに言い聞かせるように軽く抱き締め


「ラビ……僕の声、聞こえませんか?ここで……リナリーとチャオジーを守れるのは僕らだけだって、クロウリーが言ってたでしょう……?」


と、辛そうに説得するだけだった、そんなアレン・ウォーカーにロードは戦えと怒鳴る

確かに私も早く殺し合いを始めて欲しい、だがこのままラビがアレン・ウォーカーを一方的に殺すのもいいだろう、そう思いあえて黙っておいた


「神田は……戦う……かな」


弱々しくそう呟くアレン・ウォーカーをグシャッと殴るラビに箱の中にいるリナリーは頭を押さえるだけだった

そのままリナリーも泣き出してしまえばいいのになんて思ってしまう私は人間から見てどう思われているのだろう、ティキがそんな私を見たらきっと苦笑いの一つでもするのかな

なんて考えた時、ラビが仲間ではないと言い切り、アレン・ウォーカーに強く拳を入れた


「やめてえええぇぇえええ!!!!」


そう叫ぶリナリーの声を聞いて私は軽く口元が釣り上がったのを感じた


「今その子に何言ったって無駄だよアレン、だって仲間じゃないもん!!ブックマンはただの傍観者…記憶の為にアンタ達の中に入り込んだだけ、それがその子の本心なんだよッ!!」

「お前らを仲間と思った事は一度も無い、俺はブックマン次期後継者……それ以外何者でもない」


ロードの声の後にそう冷静に言うラビの言葉にリナリーとアレン・ウォーカーはショックを受けていた

そして、ラビはアレン・ウォーカーに向けて火判を使った
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