灰色の愛

□第八夜
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しばらくティキに、膝枕をしてもらっていると、ジリジリと大きな音を立てて電話が鳴った

ティキは私を退かして電話を取りに向かった


「……」


残された私は特に何もせずにソファーの模様を眺めていた

もう何もする気力がない、めんどくさい、眠い……

そんな事を思っていると、ティキが戻ってきた


「誰だった?」

「千年公、仕事をきっちりこなしてるか?だってよ」

「ふーん……千年公も過保護だよね」

「まぁな……」


そんなことを言いながら、ティキは私の隣にドッカリと座った


「タバコ吸っていい?」

「いいんじゃない?」

「ん、どーも」


ティキは一度私に、確認をすると手馴れた手つきでタバコに火をつけた

プハァーと、煙を吐くティキの隣で私はボーッとする

最近仕事が多かったからこんなにボーッとするのは久しぶりかもしれない……

そんな事を思っていると、ティキは私の方を見て


「なに?眠いの?」


と、聞いてきた、それに私は少しあくびをしながら


「少しね……寝てくる」


と、言い、立ち上がった、私が一歩足を出そうとした瞬間、ティキは私の手を掴んだ


「え?なに?」


そう言いながらティキの方を向くと、私の方は見ずにボーッとタバコをくわえている

そんなティキに少し苛立ちながら


「ティキ?」


と、名前を呼ぶと、片方の手でタバコを口から離し


「なんか、良く考えたらラルトずっと寝てるから部屋同じでいい?」


と、とんでもない事を聞いてきた、そのティキの言葉に私は慌てて


「いいわけ無い!!私は一人で寝るのがいいの!!」


と、叫んだ、するとティキはようやく私の方を見て


「実はさっき、千年公の電話のあとにフロントに頼んじゃったんだ〜」


と、ニヤニヤしながら言ってきた、その言葉にもう私は怒る気力もなく、ソファーに座った

そして、半ば無理矢理ティキの膝に頭を乗せて


「……もう少し膝枕してくれるなら許す」


と、言い、目を瞑った、私の言葉にティキはそんなに気に入った?等と聞いてくるがスルーした

私はタバコの匂いを少し感じながら目を瞑った

いつもならすぐに寝れるのに何故か心臓がドキドキと動いていてなかなか眠れなかった

ティキはさっきまで私を掴んでいた方の手で私の頭を撫でながらタバコを吸っていた


「体に悪いよ……タバコ」

「いいの、落ち着くんだから」

「よくない、タバコは肺を悪くするだけでなく、その煙で喫煙者の周りの人に悪影響を及ぼします」

「……なにそれ!!どこで覚えた!!」

「駅前のポスター」

「……まあ、大丈夫だろう、ラルトだから」

「なにそれ」


そんなやり取りを少しの間していると、急に眠気が襲い、私は気を失うように眠りについた

もう少しティキと話していたいなんて思ってしまったのは、きっとノアのメモリーのせいだろう
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