灰色の愛

□第六夜
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ティーズの苗床を見付けたティキは少し笑いながらそれに近付いて行った

おそらく、苗床といる白髪のエクソシストも殺すのだろう

仲間と死ねて、エクソシストも本望だろうな……

そんな事を思いながら、ティキに付いて行くと、ティキはそのままティーズを呼んだ

ティキが手を広げると苗床がブクブクと膨らみ、破裂した


「バイバイ、スーマン」


ティキが苗床の名前を言った瞬間、白髪のエクソシストはゆっくりとこちらを向いた


「ノ…………ア…!!」


目を見開き、驚いた声を上げるエクソシストを無視して、ティキはティーズを呼んだ

……つーか、この白髪エクソシスト……アレン・ウォーカーじゃないのか?ペンタクルも見えるし……?

そう思っていると、ティーズがスーマンと呼ばれていた苗床の死体から出てきた、そしてティキがまた


「おいで」


と、一言言った瞬間、ティキの手の中にティーズが大きな音を出して入っていった

そんな様子を見て、私はティキに近付いて


「ティーズ、デカくなった?」


と、聞いてみた、するとティキは手を上に挙げて、ティーズを出した

ティーズは前より遥かに大きくなっていた、それと比例して不気味さも増しているけど……


「まぁまぁ……デカくなったかな?」

「……そっか……」

「……バイバイ、スーマン」


私の言葉にティキは答えて、ティーズにキスをしたあと、また苗床の名前を呟いた

それを聞いた瞬間、アレン・ウォーカーは目を見開き、怒ったような表情をして、私達に


「お前ら……!?何した……」


と、言ってきた、それを見てティキは唖然としてアレン・ウォーカーの顔をまじまじと見て


「はれ!?お前……イカサマ少年A!?」


と、叫んだ


「は?」

「Aって何よ」


そんなティキにアレン・ウォーカーと私はティキにツッコミを入れた

その後、ティキは何かを思い出したように


「ああ、そっか……今の俺じゃあ分かんないよな」


と、言った、ティキの口調ではアレン・ウォーカーと会った事があるようだ

そんな事を言っているティキを睨んだ後、アレン・ウォーカーは私の方を見て


「僕達を尾行してきたんですか……!?」


と、言ってきた、そんな敵意むき出しのアレン・ウォーカーに私は


「まさか、そんなめんどくさい事私は嫌い……たまたまお前が苗床と一緒にいただけ……」

「な……苗……床……?」

「あー、そっか……分かんないか……えっと、スーマン?だっけ?まぁ、お前のお友達……いや、仲間かな?ソイツが苗床だったの」

「ッ……ふざけるな……!!」


と、ニヤリと笑いながら答え、苗床の事を言うとアレン・ウォーカーは面白いぐらいに顔を歪ませ、私を睨んできた

どうやらコイツは自分よりも仲間を大切にする奴らしい……これは中々からかいがいがある……


「ラルト、からかうのもその辺にしとけよ」

「……はいはい……ティキぽんは優しいですねぇ」

「…………」


私に怒るように言ってきたティキに適当に返事をすると、ティキは少し顔を歪ませた

多分、ティキぽんと聞いてイラッと来たんだろう、中々良い呼び名だと思うんだけどな……ティキぽん……

そんな事を思いながらアレン・ウォーカーを見下ろしていると、ティキが


「まぁ、コイツの言った事は置いておいて……お前、もしかして"アレン・ウォーカー"だったりするの?」


と、聞いた、その瞬間、アレン・ウォーカーは怒りを露にして


バンッ!!


と、ティキをイノセンスと思われる左腕で殴った


「ふざけるな……スーマンに何をした……!?お前らが殺したのか……答えろ!!!!」


私とティキにスーマンの事を怒鳴りながら聞いてきたアレン・ウォーカーにティキは殴られた頬を押さえながら


「はは……」


と、小さく笑った


「ティキ、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫、つーかその顔何?笑いこらえてるみたいな顔」

「ブッ!!い……いや別に……笑ってな……ッ……ククッ!!」

「…………まぁ、そりゃ敵なんだし殺すでしょ?」


ティキに笑いをこらえながら大丈夫か聞くと、ティキは私の顔を指さしてなんで笑いをこらえているのか聞いてきた、それに耐え切れなくなり、笑っているとティキは再度アレン・ウォーカーの方を見て、ニコリと笑いながら答えた

そして、アレン・ウォーカーの前に胡座をかいて座り、ティキはタバコに火を着けた


「ま!!俺の能力を知ったところで逃げらんないし教えてやるよ、よく聞けな?少年」


そう言い、タバコを吸うティキに


「えー、私も教えなくちゃいけない?」


と、聞くと


「ラルトのは地味だから別にいいだろ」


と、言ってきた、そんなティキを殴ると、微かに涙目になりながらティキはまず、ティーズの事を話した


「コイツは"ティーズ"千年公作の食人ゴーレムだよ、蝶なところはあの人の趣味な」

「まさに千年工作」

「ラルトうるさい、コイツらは人間を喰う程繁殖して増えていく……でもこれはコイツらの能力であって俺んじゃない……ティーズはただの道具」


ティキの言葉の間にボケを混ぜると、ティキは私に静かにツッコミをして、フワフワと夜空を飛ぶティーズを眺めながら説明を続けた

そして、ティキはゆっくりと自分の腕を挙げて


「俺の能力は……これ」


と、言い、アレン・ウォーカーの丁度心臓部に腕を文字通りに刺した


「!!」


目を見開いて驚くアレン・ウォーカーに、ティキは笑いながら


「大丈夫、痛みはないよ……俺が"触れたい"と思うもの以外、俺は全てを通過するんだ」


と、言った、そんな事をしているティキの後ろの方で、私はアレン・ウォーカーの傍にいる金色のゴーレムを睨み付けていた

なんだかコイツは好きになれない……それに、コイツらエクソシストが連れているゴーレムは大体録画機能が付いているって、千年公が言ってたから、なんか嫌

そう思いながらジーッと睨んでいる間にティキはアレン・ウォーカーに自分の能力について丁寧に教えていた

ティキはやっぱり、人間に優しい……私だったら、もうとっくに殺しているのに……

そんな事を思っていると、ティキはゆっくりと手を抜きながら


「だから……今、もしこの手を抜きながら……俺が少年の心臓に触れたいと思えば……刃物で体を切り裂かなくても、俺は少年の温かい心臓を抜き盗れるんだよ」


と、言った、それを聞いてアレン・ウォーカーの目はまた大きくなった


「生きたまま心臓を盗られるのって……どんな感じだと思う?少年の仲間もこうして死んでった……少年も、死ぬか?」


そう言い、ティキはアレン・ウォーカーの心臓を手で掴んだ、見えないけどアレン・ウォーカーの反応からそうしているのだと思う

そして、少しの間私達の間に静寂が訪れた、そして、一瞬強い風が吹いたと思うと、アレン・ウォーカーは心臓を握られているのにも関わらず、真っ直ぐな目でティキを睨んだ

それを見て、ティキは目をパチクリとして、半目になりながら


「シラけるね」


と、言った、そしてアレン・ウォーカーから手を離して


「盗りゃしねぇよ、このままじゃあ俺の手袋汚れるもん……だから普段はティーズを手につけて喰わせてんだ、スーマンはちょっと協力してくれたから、すぐに殺らずにティーズを仕込んで苗床になってもらった……お陰で少し増えたよ」


と、長い言葉をゆっくりとした口調で言った、そして、立ち上がったティキを見て私は近寄った

ようやく本題に入るようだ、全くティキは話がいちいち長いんだよなぁ……

そう思っているとティキはポイッとくわえていたタバコを捨てて


「残念だよ、少年……白い俺ん時に会えていればもう一度ポーカーで勝負したかった……」


と、本当に残念そうにそう言った、そんなティキの表情に驚いていると、ティキはリストを指先で器用に回しながら


「俺達、今とある人物の関係者を殺して回ってるんだけどさ……少年は、"アレン・ウォーカー"か?」


と、ニッコリと笑いながらアレン・ウォーカーに聞いた

私は密かに心の中で、コイツがアレン・ウォーカーじゃなかったらティキってめっちゃ恥ずかしいよね、ペラペラ喋ってたのに人違いとかヤバイよね……と、思いながらあくびをした
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