灰色の愛
□第三夜
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あ、夢だ……
今から普通の睡眠に入るのか……
フワフワとした感じの空間に私は浮かんでいた、周りにはシャボン玉のような丸い景色
ボーッと一人で座っていると、動物が集まってきて手を出してきた、そして何がなんだかわからずポカンとしている私の手を掴み、走り出した
もつれそうな足を必死に動かして付いていくと、そこには…………
「ラルト!!起きてぇぇぇ!!」
「ぐぁっは!!」
急に腹部に凄まじい衝撃が走った、肺の中の空気が全てなくなった感じになり、まだあまり働かない頭を必死に動かす
しかし、動かそうとすればするほど疑問が浮かび、遂には何も考えられなくなった
「え?なに?え?」
目を回しながら情けなくそう言う私の目の前にニコニコと笑っているロードが見えた
そして、ようやく気がついた
ロードが私の腹にダイブしたのだ、人が夢を見ているというのに……
「ロ……ロード……」
「気が付いたぁ?ラルト」
「気が付いたって言うか、死にそう……」
顔をしかめながらそう言うと、ロードは渋々退いてくれた
そして、上半身だけ起こして、ロードの方を見る、なんだかご機嫌なようだ
「ロードは……"巻き戻しの街"だっけ?行ったのは」
寝癖を手で解かしながらそう言うと、ロードは満面の笑みでうん!!と言ってきた
「面白いエクソシストがいたんだぁ、アレン・ウォーカーって言う奴」
「アレン・ウォーカーか……イケメン?」
「んーと……イケメンじゃない?」
「へぇ……イケメンか……」
「気になるところそこなんだぁ」
「いや、他にもあるよただ聞いてみただけ」
そんな会話をしながら、私は起き上がり新しいスーツを取り出す
眠気もロードのせいでどこかへ行ってしまった……久しぶりに夢を見たんだけどな……
そう思っていると、ロードがレロと遊びながら
「ラルト、そう言えば千年公が呼んでたよぉ?なんか寝てる暇があるならAKUMA作ってとか言ってた」
と、言ってきた
「げぇ……まじか……」
「頑張ってねぇ」
少し青い顔をする私とは対照的にロードはキャッキャッと笑っている
私はその様子を見ながら廊下を出て、千年公の所に向かった
「呼んだ?千年公」
「ラルト来ましたカ♥貴女は仕事を早く終わらせてくれるんですガ、その分お寝坊さんですネェ♥」
「うん、それ前聞いた」
千年公は毛糸を使ってマフラーを編みながら私に言ってきた
「我輩の代わりにAKUMAを造ってくれませんかネェ♥」
「はいはい、千年公、そのマフラー私の分も編んでね」
千年公の頼みに二つ返事で答え、私は千年公の部屋を出た
AKUMA造り………人間の悲しみを使って、兵器を作る作業……
「……楽しそう……」
そう呟いた私の顔は、きっと酷く歪んでると思う