出口はどこでしょう?

□四話
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シン…と静まり返っている廊下、壁には沢山のギロチンの絵、それだけで私は足がすくむがイヴちゃんがいるので頑張って足に力を入れた

とりあえず近くにあるギロチンの絵を見るが、題名の書かれたプレートも説明書きもないので気にせず素通りする事にする、なにより今すぐこの不気味な空間から出たい

イヴちゃんも私と同じ考えのようで心做しか先程より早足になっている気がする、しかしこう言う所ほど慎重に行った方がいいと思うので私はイヴちゃんを引き止めた

パタパタと私達の少しゆっくりとした足音が響く中、壁に飾られているギロチンの絵の刃はどんどん上に上がって行っている、いずれはその刃も頂上に達するのだろう、そうなった時どうなるのだろうか

ふと嫌な想像をしてしまったがパニックになってもいけないのでその考えを振り払う、しかし身体は自然と先程より早い歩幅で歩き始める、イヴちゃんも私に合わせて早足になっている

視界の端でギロチンの刃が頂上に達した、それに合わせて廊下も行き止まりになり右側に階段が見えた、ホッとしたのも束の間上から何かが大きな音を立てて落ちてきた


「ッ!?走ってイヴちゃん!!」

「うんッ!!」


私はイヴちゃんに向かって叫び階段に向かって走った、イヴちゃんも何が落ちてくるのか分かったようで弾かれたように階段に向かって走り出した、階段にたどり着いた瞬間先程まで立っていた場所にギロチンの刃が大きな音を立てて落ちた

軽く揺れる地面と共にホコリが立つ、そんな景色をイヴちゃんと固唾を呑んで見ていた、喉の奥から蚊の鳴くような小さな悲鳴が漏れてしまうがギロチンの刃が上に戻っていく音で掻き消された

もしあの場所に立ったままだったら……そんな考えが頭をよぎるがこうしてイヴちゃんと私、二人共無傷で無事なのでホッと溜め息をつく


「危なかったね……」

「うん、怪我はないよねイヴちゃん?」

「見ての通り大丈夫」

「よかった……」


イヴちゃんが少し震えた声で私に話しかけてきたので改めて怪我を確認するがイヴちゃんもやはり無事のようだ、小さい子になんて事をするのかと思うがこの怒りは誰にも届かないだろう

気を取り直してイヴちゃんと廊下を歩いた、途中不思議な影を見た気がしたが先程のギロチンの疲れか深く追求しようとは思わなかった

歩いているとふと床の色が違うことにイヴちゃんが気がついたので、壁などを触りながら詳しく調べてみる事にした

するとしばらくしてイヴちゃんが奥へと進める場所を見つけた、隠し扉とでも言った方がいいのか、とりあえず壁に手を付きながら進んで行くと広めの空間に大きな四角い絵が一枚飾られていた

その絵以外には特に何もないので帰ろうとした時イヴちゃんがタイトルが読めないので私に読んでほしいと言って引き止めた、絵のタイトルを読んでみるとイヴちゃんが読めないのも納得した

少し難しい言葉が何個か使われていてきっとイヴちゃん位の年齢はまだ読めないのだろう、私が読んでいる間をイヴちゃんは少し期待しながら待っていた


「……ごめんねイヴちゃん、私もちょっと読めないや……ただ最後の言葉は"群衆"だね」

「そうなの?」

「うん、勉強不足かな?」


私は少し笑いながらイヴちゃんにそう言い、早めにこの空間から出ようと言ってイヴちゃんの背中を押した、もちろんあのタイトルが読めなかった訳ではない

"魂を啜る群衆"少し不気味な絵はそうタイトルをつけられていた、なんとも不気味なタイトルなうえ、イヴちゃんも精神的に疲れてきているのでここで私が無駄に疲れさせるわけにもいかないと思い言うのをやめたのだ

自然とイヴちゃんの背中を押している手に力が入った気がした
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