白銀花が咲く夢を見る

□第七訓
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ざわざわと騒がしい人混みの中を掻き分けて中心の様子を見てみると、なにやら恋人か兄弟の様な男女と男が二人言い合いをしていた

沖田と顔を見合わせながら私達はとりあえずその男女の近くに行く事にした、徐々に誰がどんな顔か分かってきた時、私は少し驚いた男三人のうちの一人が新八ではないか

どうやら新八は知り合いの女の人を護っているようだ、彼女かと思ったがどちらかと言えば姉弟と思う雰囲気だ


「真選組だ、そんなに騒いで何があった?」


手帳を見せながら全員に向かって声をかけると、新八は少し驚いたように私を見ていた


「か……花無為さん……」

「まず何があったか聞こうか、話はそれからだ」


新八が私の名前を呼んだが、私はあえて新八の方は向かずに争い相手の男に声をかけた

少し面倒くさそうに渋々話す男の話は、新八の隣の女性とぶつかったら新八から文句を言われたと……

だが新八はそう言う事を意味もなくやらないのは知っている、とりあえず沖田にもっと詳しく話を聞くように言って新八の方を向いた


「で、何があった?」

「実は……コイツが姉上にぶつかってきて、謝るどころか文句は言うし何故か金も請求してくるし……困っちゃって……」

「まあ、それなら言い合いになる理由も分かるな……それより姉がいたのか……」


新八から話を聞くとなるべく詳しく話をした新八、どうやら相手は軽い当たり屋だったようだ

それよりも個人的に私は新八に姉がいた事が驚きだ、ポニーテールの女性は確かに雰囲気がなんとなく新八に似ているかもしれない


「志村妙です」

「あ、裟維覇花無為です」


挨拶をしてきた妙さんに返事をしていると沖田がある程度の話を聞いてきたのでお互いの言い分を合わせる事にした

金を請求したと言う部分以外は大体が合っていた、どうやらその部分を言うと当たり屋と思われるから避けたそうだ

この程度なら許してやってもいいが、後からなにか起きてはいけないので当たり屋には軽く注意をする事にしたが、結局お互いが同じ様に謝ると言う形で収まった、何か起きる前に対処できてよかったと思う

野次馬や当たり屋がそれぞれ当初の目的のために歩き始めた時、私は新八と妙さんと話をしていた、沖田は近くのベンチに座りまたアイマスクをつけて寝ている


「新八は本当によく出来た弟さんですね、妙さんも鼻が高いんじゃ……?」

「そんな事無いですよ、それより本当にありがとうございました、花無為さんのお陰で助かりました」

「いえいえ、一応警察なんでいざこざでも火種は消しとかないと」


ニコニコと笑う妙さんは素敵で、女の私でも可愛らしく可憐だと思う程の人だ、少し新八が羨ましく思えてしまった

話の途中携帯が鳴り出したので、二人に謝ってから電話に出ると副長が私達の帰りが遅いのでサボリではないかと聞いてきた

だが、今さっきいざこざを終わらせたと言うと渋々礼を言ってから早めに帰って来いと言ってきた


「えっと……じゃあ、そろそろ戻りますね、またゆっくりと話しましょう妙さん」

「ええ、お疲れ様です」


妙さんにそう言ってから新八にも万事屋の事を言ってから沖田を起こして屯所に戻る事にした、屯所に着くまでは何事もなかったので、そのまま真っ直ぐ帰る事ができた

今日はあまり働いてない気がしたが屯所に帰ってから大量の書類が待ち受けていたのは言うまでもない

まだしばらく書類に追われる事になるだろう、副長補佐も楽なものではない
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