白銀花が咲く夢を見る

□第六訓
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銀時と会話をしてから数分経ったがあれっきり銀時との会話はない、私はただ持っている提灯の火を眺めていた

ユラユラと風が吹く度に揺れる火はなんだか哀愁を漂わせていて私は静かに目を伏せた


「花無為」

「……?」


暗くなった視界から唐突に聞こえてきた銀時の声に反応して目を開けながら銀時の方を向くと、銀時は少し気まずそうに頭を掻きながら口を開いた


「さっき……なんであんな事聞いたんだ?やっぱ、罪悪感って言うの感じてんのか?」

「……そうかもな、無意識のうちに感じていたのかもしれない」

「……気負う事ねぇよ、花無為が決めた事だ、正々堂々としとけばいい」

「ああ……」


銀時はまるで励ますようにそう言ってから視線を正面に向けた、私はそんな銀時の動きを横目に見て歩き続けた

罪悪感、それと似たような物は確かに感じているのかもしれない、攘夷志士から幕府側に移ったからか、ずっと音信不通で文さえ出さなかった事か……心当たりが多すぎてどうにもならない

しかし、銀時は気にするなと言った、一人でもそう言う事を言ってくれる元同志がいるだけでもありがたく感じる

なら他の人達は今の私の事をどう見るのだろう……?ふとそう思い考えに耽っていると、急に頭に小さな衝撃が走り、髪の毛と髪の毛がシャッフルされた


「なッ!!?」


それが銀時がいる方から来ている事が分かった私は銀時の腕を掴み、動きを止めた


「何をする!?」

「……顔、険しくなってた」

「あぁ?」

「難しく考えんなって事だ、さっき言ったろ?正々堂々としてろって」

「…………すまん」


銀時は明らかに不自然そうにそう言ってから手を降ろした、銀時の言葉に謝り、私は腕を離した

そうかもしれない、今こうして悩んでいても皆の気持ちを変える事はできないし真選組から抜けるなんて事もできない、なら深く考えない方がいいかもしれない

銀時の言葉からそう思い始めて、私はそれから屯所に着くまでもうその事について考えるのをやめていた

屯所の門前で提灯を銀時に渡すと銀時は適当な返事をしながらそれを受け取った


「そいじゃ」

「あ、待て銀時」


銀時が早々に帰ろうとするので私は声を掛けて銀時を止めた、銀時は私の声を聞いてピタリと動きを止めて私の方を向いた

提灯の炎で顔が少し照らされている銀時に私は片手を挙げながら


「ありがとうな、随分と楽になった」


と先程の礼をした、すると銀時は少し分からないような表情をしたがすぐにニヤリと笑って当然だと言ってそのまま歩き出した

気怠そうな歩き方で万事屋の方面へ歩いて行く銀時は、ちょっとした酔っ払いにも見えて、あんな奴に助けてもらったのか……なんて思ってしまう

だが銀時は今も昔も変わらず仲間でいてくれていた、それは何にも変えられない大切な物だ

もう一度心の中で銀時に礼を言ってから私は屯所の中に入った
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