白銀花が咲く夢を見る

□第五訓
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銀時と私には似合わない堅苦しい話を終えたがまだ私は銀時があの後どうなって万事屋を開いたのか聞いていない

私だけ話しているのはなんとなく損をしている気分になって、私は銀時の過去を聞こうと話を振ろうとした

しかし、私の声は結構大きな破壊音と悲鳴でかき消された


「な……何だ!?」


万事屋の屋根裏から何かが落下したようで、若干の砂埃が舞う中そう呟くと銀時が声を上げた


「勝手に人ん家の屋根裏に入ってくんな」


そう言うと同時に銀時は何か落ちた来た物を踏みつけた、何と話しているのかと思いきや砂埃が段々と薄くなり何が落ちてきたのか理解できた

人だった、しかも私よりはるかに髪の毛が長くかなり際どい服を着ている女性だ、赤いフレームのメガネが印象的でとても屋根裏から落ちてきた人物だとは思えない顔立ちをしている

その人は少し痛むように腰をさすりながらゆっくりと立ち上がりメガネをかけ直した、と言うか状況がよく掴めない


「なあ銀時……この人は……?」

「……ストーカー」

「…………なんて?」


何か知っていたような声色でこの女性を踏んでいた銀時に何者か聞くと、最近真選組内で問題になっている局長と似たような種類の単語が聞こえた

ストーカーだと確かに銀時は言ったが私の聞き間違いであって欲しい、きっとスターリンとかそんな感じの名前の外国人なのだろう

そう願いながらも銀時と共にその人を眺める、その人はメガネがようやくベストなポジションに置かれたようで満足そうにメガネを摘んでいる

よく見てみるとこの人結構綺麗な人だ、屋根裏から降って来なければ結構いい線いける人だ

そんな呑気な事を思いながらこの人が次どんな行動を取るのかと待っていると、メガネを光らせながら私の方に近付いてきた


「あの?……えっ?」

「なるほど…見たところ銀さんの旧友ってところね、ふぅん……銀さんが誰か見知らぬ人を連れ込んでると思って心配したけどそこまで警戒するような人じゃないわ」

「……えー……なんでこんなに貶されてるの私……」


パニックになっている私を無視して、その人は鑑定でもするかのように頭から爪先まで見定めてから独り言を呟いた

まるで私の存在自体がC判定を受けたかのような錯覚に陥ってしまい思わず眉毛を下げてしまった、それ以前にこの人は何者なのかと思っていると案外簡単に分かった


「紹介が遅れたわね私は猿飛あやめ……さっちゃんでいいわ、むしろ覚えなくてもいい、私銀さん以外の人類は皆同じに見えるから」

「それ眼科行かなくていいんですか?あ、一応名前言っときますね、裟維覇花無為です」


最早学校で言ったら明らかに引かれるような自己紹介をしてきたさっちゃんさんだったが、私も個性のインパクトに負けぬように自己紹介をし返した

しかしさっちゃんさんは私の言葉を最後まで聞かずに銀時の方へスタスタと歩いて行ってしまった、どうやら本当に眼科に行かせた方がいいかもしれない
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