白銀花が咲く夢を見る
□第一訓
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(銀時視点)
神楽には悪い事をしたと思うが俺はあの時嫌な勘が頭を巡ったのだ、それは俺が知っている出来事では不可能な事でありえない事だ
それを信じたくないのに信じようとする自分がいて、冷静を取り戻りたくて逃げるように寝室に入ってしまった
今はカチカチと規則正しく動く針の音が響くだけの真っ暗な部屋の中で布団に寝そべっている、俺の視界には見慣れた天井が広がっている
「……まさかな」
何度も何度も自分に言い聞かせるように呟く、この言葉ももう何回目か分からない、思わず目を瞑った俺の頭の中には真っ白な髪の毛をした花無為の後ろ姿がやたら浮かんでいる
いつだったか俺が花無為の後に続いて動いた時の花無為の後ろ姿、それが今となってはやたらと浮かんでくる
「遅れを取るなよ銀時?」
軽く振り向き俺を馬鹿にした笑いでそう言ってくる花無為を思い出して俺は思わず瞑っていた目を開いた
見えるのは見慣れた天井、それを見ながらボーッとさっき神楽が言った事を思い出す
「その子は髪の毛が白かったアル」
「もう少し花無為の話をしたいアル!!」
そう言った神楽の言葉を頼りにソイツの姿を勝手に想像する、白い髪に花無為と言う名前……
俺の記憶では裟維覇花無為と言う人物しか思い浮かばない、だが神楽の友達だ、もしかすると名前が同じだけで違うかもしれない
なにより花無為な訳がないのだ、花無為が生きている訳がないのだ
あの日俺はただ花無為を助けたかった、単独行動はいつもの事だったし少しも罪悪感はなかった
高杉の鬼兵隊が到着して天人を斬りながら花無為を探した、だがその場の天人を全滅させても、俺以外の人間がそこから居なくなっても、花無為の姿はどこにもなかった
「か……花無為……?」
名前を呼んでも返事は返ってこなくて、拠点に戻っても花無為はどこにもいなかった
花無為の部屋に入っても一言言ってから入れと言われないし、縁側でボーッとしていた花無為の姿はそれっきり見なくなった
花無為は死んだのだ、最初にそう言ったのは確かヅラだった、そんなヅラの言葉に反論する高杉を止める辰馬、俺は何も言わなかった
認めたくなかったからかも知れないし頭のどこかで認めていたからかも知れない
「名前が一緒なだけでどこかのババァだろ……それか神楽が聞き間違えたんだろう」
長い事昔の事を思い出していたようだ、ほぼ同じ方向を向いていた時計の針はいつの間にかバラバラの方を向いている
勝手に神楽の友達の事を解決して、俺は眠りについた、久々に見た夢は幼少期の頃の思い出で俺は嫌でも朝早く目が覚めた