白銀花が咲く夢を見る

□攘夷時代
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捕まってからずっと拠点場所を聞き出そうと拷問やらなにやらされているが、私は仲間を売るつもりは毛頭ないので絶対に口を開けない様にしている

だがそう志しても結構精神的には来ていて言ってしまおうかなんて最低な考えが頭をよぎる、その度に私は自分の額に拳を叩き込み根性を入れ直す

捕まってから三回目の根性を入れ直した時、また情報を聞き出そうとする天人が私の前に立った


「…………」

「いい加減吐いたらどうだ辛いだろう?」

「……嫌だね」


初めは優しいような気持ち悪い口調で話してくるが、コイツは徐々に口調が壊れて化けの皮が剥がれるのはもう分かっている

そんな奴に負けたくないので舌を出して否定をする、するとソイツはピクピクとこめかみの血管を痙攣させた


「テメェその左足でここから逃げられると思ってんのか?」

「まあね、ケンケンの達人だから」

「舐めた口聞いてんじゃねぇよ」

「なんなら見てみるか?私のケンケン」


終始ふざけた口調で天人に言うと、ソイツは表情を一気に変えて私の牢屋の柵を破壊した、これは想像してなくて思わず呆然としてしまうがソイツはお構いなしに私の左足を乱暴に掴み、私を宙にぶら下げた

ミシミシと骨が折れている所を重点的に強く握ってくるソイツはどうやら本気でキレてしまったようで、瞳孔を開きながら私を見下ろしていた


「ッ……ぐッああッ!!」

「ほらよ、片足で逃げれるもんなら逃げてみやがれよッ!!」

「あ"ああああッ!?」


折角治ってきていた足をまた折るかのように力を込めてきた天人、私は襲ってくる激痛に耐えきれず思わず叫んでしまう、そんな私をケラケラとゲスな笑いをして見てくる

そして遂には私の頬を掴み自分の方へグッと寄せてきた、見たくもない憎い天人の瞳が私を捉える

遂には大笑いをし始める天人に私は自由だった手でソイツの目を潰すように指を差し込んだ


「痛ッあ"ああ!?何しやがるッテメッ!!」


必然的に私の左足を離し、目を押さえるソイツの足を引っ掛け見事に転んだ所に私と同じ左足目掛けて折れ曲がった柵を叩き込む

あの時の私の足と同じような音が響き、ソイツが痛みで気を失ったのを確認して私は立ち上がった

牢屋から出るため柵を片手に扉を開ける、誰もいないか確認してから廊下に一歩出て甲板を目指して歩いた

甲板の近くには確かこの船の電源室があるのでそこを適当に弄ればきっとこの船は墜落するだろう、そう考え歩いていると曲がり角でバッタリと天人に出食わしてしまった


「あ」

「あ……きっ貴様!!」

「……よお元気?仕事頑張れよ」

「騙されるかァ!!お前ら追えぇぇ!!」


天人を誤魔化そうと思い同僚のフリをして挨拶をしたがどうやら上手くいかなかったようだ

天人の声に反応して周りの部屋から何人かの天人が出てくる、ソイツらの顔を見る前に私は全力で左足を上げてケンケンをして逃げる

やはりまだまだ衰えてないようで、昔の自己記録を追い抜かす速さで私は廊下を移動した、少ししてようやく甲板が見え、慌てて電源室に入るとどうやら上手い具合に撒けたようで私を探そうとする天人の声が聞こえる

その間に私は船の電源を適当に弄り回す、するとエンジンのメーターだろうか何かメモリを指している針がグルグルと暴れ始める

それと同時に船が大きく傾いたり沿ったりする、それだけでもう私は酔い始めてしまったがここで力尽きるわけにはいかない

電源室に鍵をかけて人一人がやっと通れる窓から部屋を出て密室を作ってから船の縁に登る、地面はどうやら近いようで若干畑や川が確認できた

爆発音が響いてきたのでそろそろ腹を括らないといけないだろう、叫び声やパニックになっている声が聞こえる中、深呼吸をしてから私は体を空に向かって傾けた

フワリとした嫌な浮遊感が一瞬体を包み込み、その後はただただ空気が切れるやかましい音が響く

人生で最初で最後の紐なしバンジーだなとくだらない事を考えた時、私の体より上の方向で爆発音が響き燃えている瓦礫などが私と共に落ちてくる

煙たい臭いが漂ってくる中ゆっくりと私は目を瞑り、気を失った
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