Short2

□もしもシリーズ
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もしもるろうに剣心の世界に行ったら2(銀魂)



私が明治と言う時代、そしてそれが未来でも過去でもない全く別の世界に来たと言う事が分かってから私は介抱してくれた人の一人、剣心に私の世界の江戸時代について詳しく聞かれていた


「それで……ナマエ殿がいた世界では天人と言う者が江戸に来たと?」

「ああ……それで文化が一気に発展したんだ」

「……ふむ……」


正直とてもめんどうだが助けてくれたのは確かなので仕方が無い、それに知らなかったとは言え無礼な態度をしてしまったのもある

私が言った事をサラサラと紙に書いていく剣心はなんとなく字が汚いように見えるがそこには触れないでおこう


「それでナマエ殿が属していた新撰組は……?」

「真選組は……近藤勲と言う人が局長からなり、副長が土方十四郎、私が副長補佐で一番隊隊長が沖田総悟……あとはまあ色々だ」

「……後半適当でござるな……だが、どれも似たような名前……その近藤勲殿や土方十四郎殿、沖田総悟殿はどの様な人物でござるか?」


私が言った真選組の重要的な人の名前をまた紙に書いていく剣心、思えば私がこの世界にいる時向こうではどうなっているのだろうか

少し向こうの事を気にしながら剣心に言われた事を答える事にした、何故こんな事まで言わないといけないのかは疑問だが仕方ない


「局長は、ゴリラでストーカーだな」

「……おろ?」

「ああ、分からないか……まあ、好きな女に付きまとっていて、毛深い獣そっくりなんだ」

「…………」


局長の事を分かりやすく教えると剣心の顔はかなり引き攣ってしまった、正直な所私もその点については引いているが局長はある意味では頼れる存在なのだ

剣心の表情を気にせずに私は少し視線を逸らして副長の事を話す


「副長はヘビースモーカー……煙草をかなり吸ってな、そしてマヨネーズ…卵と油で出来た調味料をかなり愛しているんだ、丼に丸々掛けるぐらいな」

「……なんだか、江戸の治安が心配になってきたでござる」


副長の事を話すと剣心はもっと表情を引き攣らせて最終的には江戸の治安を心配し始めてしまった

そんな剣心の言葉をあえてスルーして私は沖田の事を話す事にした、コイツも結構キャラが濃いので剣心が耐えれるか心配だ


「沖田はサボり魔でいつも副長の座を狙っていて、私も時々参加するが土方十四郎暗殺計画も立てているなサディスト……人が泣いていたり苦しんでいたり痛がっていたりしているのを見るのが大好きな奴だな」

「ますます心配になってきたでござる!!大丈夫なのか江戸は!?」

「大丈夫、大丈夫」


大きな音を立てながら立ち上がった剣心をなだめながら私は思わず苦笑いをしてしまう、きっとこの世界の新撰組はカッコイイのだろう

ようやく剣心が落ち着いて座り直したので私もグッと伸びをした、もう話をして随分時間が経つから肩が凝ってしまった


「……剣心」

「なんでござるか?」

「私、これからどうしよう……」

「……薫殿に聞いてみるでござるよ……信じ難いがナマエ殿がここの世界の人物でないことは明らかでござる」


剣心にこれからどうしたらいいのか聞くと薫さんにここに住めないか聞いてみるといいと言われた、どうやら剣心も私がこの世界の人間じゃない事を信じてくれたらしい

あとは残りの三人が信じてくれるかが心配だが、多分悪い人達ではないのできっと信じてくれるだろう


「ハァ……面倒だなぁ……」

「お主、本当に新撰組でござるか?」


残りの三人に同じ説明をしないといけない事に思わず声を漏らすと剣心が私を疑いの眼差しで見てきた、その視線から逃れるために剣心に一言言ってから部屋を出た

だが、私はまだ完全には信用されていないらしく、部屋を出た瞬間左之助が後についてきた


「まだ信用されてないらしいな」

「いきなりあれだったからな、それはお前が悪い」


左之助を見ながらまだ信用されてないのかと聞くと初めてここの人達に会った時の事を言われた、確かにやりすぎたかもしれないが職業柄仕方のない事でもあるのだ

廊下を歩く音が二重になって聞こえるのはこんなにも不快なのかと思いながら薫さんの部屋を左之助に聞きながら歩く、だが一向に着かないのでもしかすると左之助は方向音痴かもしれない

そんな事を思いながら歩いていると、急に左之助が私の前に出てきた、思わず立ち止まると左之助はジロジロと私を眺めてきた


「……何だよ」

「お前……男か?女か?」


左之助を睨みながら言うと左之助は私の性別を聞いてきた、なぜ今そんな事を聞くのか全く見当もつかないがよく聞かれる事でもあるので思わず溜め息が出た


「それは大切な事か?」

「たりめーよ、剣心の奴は違和感を感じたが聞かなかった、傷付けないためだろうな、嬢ちゃんなんて最初の身のこなしで男だと思ってる、弥彦は弥彦でそんな事気にしてねぇ……けど俺は白黒はっきりつけてぇのよ」


左之助は長々とそう言うと顎に手を添えながら目を細めてニヤリと笑った、そんな左之助を見て私はまた溜め息をついてしまう


「俺が思うにお前は……元女で現男!!文化が進んでんだろ?性別くらい変わるんじゃね?」


左之助はビシッと私の目の前に指を指して私の性別が変わったと言ってきた、どうやら自信満々らしいが逆にそれが私の機嫌を損ねた

私はそのまま左之助の指を掴み、曲がってはいけない方向にグッと力を入れ続けた、左之助が痛みで騒ぎ出すが関係ない


「ちょっ……」

「現男ォ?悪いがそれは外れだ、確かに性別は突貫工事すれば変えれるが私はそんな事しない……私は元女、現女だ!!」


いきなり指を掴まれ目を見開いている左之助に私はそう言いそのまま手を離した、掴まれていた指を撫でながら左之助は信じられないと言った表情でまた私を頭から爪先までジロジロと見てきた


「……なんだよ」

「……お前強かったじゃねぇか」

「性別に強さは関係ないだろう……」


また失礼な事を言ってきた左之助に溜め息混じりにそう言い放ち、私は薫さんを探すためまた歩いた

ここの空は天人の船がなく蒼々として時々昔を思い出す、よく寺子屋の屋根に登り空を見ながら寝てた事があるので空を見ると眠気が襲ってくる

そう思っていると私はまたアクビをした、その時丁度薫さんの部屋についたようで左之助が私の肩を叩いた

そのまま襖の向こう側に向かって薫さんがいるか聞いてみる


「薫さん?居ますか?」

「居ますよ、どうぞ」


すると向こう側から薫さんの声がしたのでそのままゆっくりと襖を開けた、香でも焚いているのかふんわりと甘い香りがした時薫さんと目が合った


「なんですか?ナマエさん」

「えっと……単刀直入で悪いんですが……」


綺麗な着物を着ていた薫さんに少し戸惑いながらも座り、ここにいてもいいのか聞いてみる事にした


「あの……ここで居候と言う形で住ませてくれませんか?」

「え……」

「あっ!!いえ、無理にとは言いません、私は貴女にあのような事をしたのですが……その、帰り道も分かりません、どうすればいいのかも……だからそれが分かるまで居候させてもらえませんか?」


居候させていただきたいと言うと薫さんの戸惑った顔をしてしまった、それを見て私は慌てて言い訳のような理由を慌てて言った

するとそれを聞いた薫さんは、少し考えるように顎に手を添えた、ここで断られたら野宿でもなんでもするしかないのでバクバクと心臓が鳴っているのが分かった

薫さんの返事をジッと待っていると薫さんはすっと顎から手を降ろして私の方を向いた


「大丈夫ですよ、現に二人も居ますから、一人くらい増えたって変わりません」


薫さんはふんわりと笑いながらそう言ってくれた思わぬ返事が返ってきた事に思わず驚いてしまう、別に断られるとは思ってなかったが驚いてしまう


「あ……ありがとうございます!!」


慌てて礼をして顔を上げた時、何故か薫さんはほんのりと頬に赤みを帯びていた


「……?どうしました?」


風邪かなにかだろうかと思い、顔を覗き込みながらそう言うと薫さんはビクリと肩を揺らしながら視線を下に下げた

そのまま薫さんはモジモジとした感じで手を組んだり離したりを繰り返しながらか細い声で話し出した


「いえ……これじゃ周りが男の人だらけで……なんだか恥ずかしくって……」


そう言った薫さんの言葉に私は一瞬戸惑うが、先程左之助が言っていた言葉を思い出し納得した


「……ああー……」


なんとも言えず曖昧な返事をした時、いつの間にか隣にいた左之助が私を指さして


「嬢ちゃん、コイツ女だ」


と薫さんに向かって言った、その瞬間薫さんの顔がもっと赤くなったのは言うまでもない

そんな薫さんを笑いながらふと、なんだか武州の時と似ている気がした、局長達に礼を言ったのもこんな風な敬語で話していてなんだか昔に戻った気分になってしまう、厳密に言えば未来だが……

そう思っているとそのまま話が進み、薫さんのお陰でまだ監視付きだがとりあえず私の部屋を確保したが、刀はまだ返してもらえずにいた

別に愛刀とかそう言うのではないから別にいいのだが、なんか丸腰だと落ち着かない

部屋に居ても左之助という監視が付いている、しばらくはまともに寝れないだろう、枕が変わったのもあるが人に見られていると思うとどうしても寝れなくなってしまうのだ


「ハァ……ジャンプ読みたい……」

「元の世界に戻りたいのか?」

「ん?まぁな……向こうの方がなんとなく暮らしやすいがこんなに蒼々とした空は無いな……住みやすいぞ?」


そう左之助に言い、寝そべりながら空を見る、船の無い空がもう一度見れるとは思ってもみなかったのでしっかりと目に焼き付けておく

春なのか暖かい風が身体を包み込む感じがして私は思わず目を瞑った


「ハァ……本当にここはうるさくないな……けど暇すぎる」

「お前、贅沢なのな」

「誰だって贅沢になるだろ?楽な方、楽な方に行ってしまうものだよ」


私を呆れたように見下ろす左之助にそう言い返し、私は組んでいた足を変えた

するとトントンと廊下を歩く音がして私の部屋の辺りで止まった、どうやら来客のようだ


「ナマエ殿、失礼するって開いてるでござるな……」

「おお、剣心」

「早く入れよ、風が当たらない……」

「すまぬ……しかし、ナマエ殿少しだらけ過ぎでは?」

「私はいつもこうだよ」

「作用か……」


どうやら来客は剣心のようだ、剣心は私を見るなり小言を言ってきたが適当に返すと剣心は少し呆れてしまったようだ

だがなにか用件があるようでそのまま部屋に入ってきたので私は体を起こして剣心の方を向いた


「なにか用か?」

「ああ、ナマエ殿一つ聞きたい事が……言いにくい事かもしれぬがいいでござるか?」

「いいぞ?」


剣心はゆっくりとそう言い私の方を見てきた、断る余地も無かったので二つ返事で答えると剣心は少し緊張したような顔付きで口を開いた


「ナマエ殿の髪は何故そうなったのでござるか?それ何故右目を……?」


そう言ってきた剣心に私は思わず納得をしてしまう、目立つので誰だってこの事について気になってしまうだろう

そう思いながら真剣に私の方を見ている剣心に向かって私はいつも返している返答をする事にした


「まあ、産まれた時からこんな髪でな、別に実験に失敗したり厨二病だったりとかそう言うのではないから安心してくれ、右目は……そうだな……どうしても知りたいか?」


そう言うと剣心よりも先に左之助が厨二病について聞き返してくるが今は関係ないのでそのままスルーすると、剣心が少し俯きながら口を開いた


「……出来る事なら見たいでござる……しかし見せたくないのなら無理して見せなくても大丈夫でござるよ」


そう言ってきた剣心の言葉を聞いて私はそのまま立ち上がり、剣心を見下ろしながら口を開いた


「ならこの話は無しだ……私の精神的な問題でな……見ても損得無いし」


そう言うと剣心はゆっくりと目を瞑り、申し訳ないような表情をした


「すまぬ」

「なんで謝るのさ」

「嫌な事を思い出させてしまったかと……」

「別に大丈夫だ……強いて言うならお前のその十字傷みたいな物だ……何があったかは言いたくないだろ?」


謝る剣心に頬を指差してそう言うとどうやらどういう理由か理解したようで小さく頷いた

左之助は今だに厨二病がなんなのか聞いてくるが、そのままにして私は部屋を出た


「何処へ!?」

「そう焦った声を出すな、薫さんに服がないか聞くだけだ」


剣心の慌てた声に私はゆっくりと答えて薫さんの部屋に向かった、後ろから監視役の左之助もついてきたが、剣心は私の部屋からは出てこなかった

なんとなく落ち着かなくて早く信用されるか帰る方法を見付けるか……どちらかが達成出来る日が早く来てくれないかと考えてしまう

そう思いながらドラ●エのパーティの様にピッタリとくっついてくる左之助の気配を感じながら廊下を歩いた
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