紡がれる声

▼書込み 

09/10(Wed) 01:02
月詠みの夜


灯りを消して カーテンを半分だけ開けた
幾年かぶりに 月の光を浴びる夜半
肌の上を微かに滑る儚い粒子に
わたしから触れることは、決してない
それでも焦がれていた
幼い頃から 手を伸ばしていた
きっと今夜だけは 誰も彼もがあの月を愛でているんだろう
どんな時も在り続けることも、想わないで
何故だかとても哀しいわ
わたしはずっと 片時も忘れなかった
とわの片恋のようだというのに
叶うならあの光のもとで 生きていきたいけれど
代わりなどないものの尊さを 叶わないことの愛しさを
忘れないわたしでいるために
遠く離れたこの地の上で 暮らしてゆくのだろうから
きっとこれは、生きる限りの片恋
わたしのなかで 唯一けがれない想いのかたち。

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