読み物

□狼の夕暮れ
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あっ、近藤みっけ
近藤は仕事が休みなのか着流しをまとい一人でぶらぶらと歩いている
あれだけのがたいだから制服を着てなくてもわかる
俺は当然分かるわけだが、そのがたい故に攘夷浪士からも見つかりやすい

ちっ、
…早速囲まれてやがる
こりゃ助けなきゃ
とは、思わない
たった四人で近藤をしとめるなんざただの浪士には無理だね
むしろ、助けにいったら怒られるし…

ほーら

近藤は相手の太刀をすらりとよけ
次々と相手をなぎ倒していく
しかも、峰打ちでだ
捕縛する余裕もあるとは相手からしたらしゃくだな、おい

「おーい ごりさーん」
「おお 万事屋か」
「ずいぶん派手にやってんじゃねえか」
「なんだよ 見てたんなら助けてくれたらいいじゃん」
「お前なら いらねーだろ」
「まぁね…」

これが俺が近藤に惹かれる理由
敵と対峙したときの並外れた殺気
普段の飄々とした感じからは想像できないほどの殺気を放つ
そういうときの近藤は身が凍るほどに無表情である
まるで、人を切ることに対して何も感情がないかもように

でも、近藤は無碍に人を殺めない

どんなに強い殺意があろうとも、出来る限り殺さない人間らしさが人を惹きつけるし恐れさせる

近藤はのまれない強さがあるのだ

さすが真選組の大将ってこったな
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