カゲロウデイズ§水色世界§
□プロローグ
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ある日、俺は異世界に落ちた。
__8月15日の午後十二時半くらいのこと
晴天のこの日、俺はブランコに座る二人をボーッと見ていた。
__天気がいい
__病気になりそうな程、眩しい日差しの中することもないから君と駄弁っていた
あの二人は楽しそうに駄弁っている。
__「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら君はふてぶてしく呟いた
この台詞は何度も聞いた。この建物から。
__あぁ、逃げ出した猫のあとを追いかけて、飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機
この一瞬で終わる悲劇を俺は…
__バッと通ったトラックが君を引きずって泣き叫ぶ
__血しぶきの色君の香りと混ざり合ってむせ返った
無気力に見ていた。
__嘘みたいなカゲロウが嘘じゃないぞって嗤ってる
蝉の声が俺の耳を貫いた
__夏の水色掻き回すよう蝉の声にすべて眩んだ。
__何度世界が眩んでもカゲロウが笑って奪い去る
俺は少年の思考を見る。
__繰り返して何十年もうとっくに気が付いていたろ?
俺は、
__こんなよくある話なら結末はきっと一つだけ
この後の悲劇を…
__繰り返した夏の日の向こう
知っている筈なんだ。
__バッと押しのけ飛び込んだ
今の風景を目を逸らさず見つめた。
__瞬間トラックにぶち当たる
今度は俺、頑張らなくちゃなぁ…
__血飛沫の色君の瞳ときしむ体に乱反射して
さて、明日は俺の命日かな。
__文句ありげなカゲロウに「ざまぁみろよ」って笑ったら
ほら、だってもうカゲロウデイズも終幕に近づいてる筈だろ?
__実によくある夏の日のことそんな何かがここで終わった
俺は二人が行く公園のベンチに座った。少年がくる時はもう雨が降る頃だろう…
もうすべて…終わるよ。
使用曲:カゲロウデイズ