黒と白
□新しい囲碁部
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うららかな春が過ぎようとしている五月ヒカルは、とある高校の理科室の前にやって来ていた。
ガラガラ
一息ついて扉を開けると、幼いころからよく知るアカリが目に入る。
「おっやってる やってる」
「えっ!ヒカル!!どうして」
ヒカルが教室に入ってくるとアカリが驚いたように立ち上がった。
「どうしてって・・・お前が囲碁部立ち上げたっておばさんから聞いたから、見に来たんだよ。」
「そうなんだ!ありがとう」
先日のアカリのおばさんとの会話を思い出しながら答えた。
「結構、部員いるんよだな。」
入り口で先生から聞いた情報を確認する。
「うん、皆初めてらしくって、私が先輩なの!」
先輩って……お前が教えられるのかよ、ヒカルは思ったことを口には出さなかった。
「僕は、違うよ、」
苦笑いを勘違いしたのか、一人で詰碁をしていた少年が、立ち上がってヒカルに言った。