コーリング・リフレイン
□2:初っ端から非日常
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ヘッドフォンから流れ出すアリスの声に従い、町の中心へと向かう。
ハッピーツリータウンはすごく平和で、商店街や駅前も適度に都会で中々良さそうな町である。
「見知らぬ土地に来るとすごくドキドキしちゃうっすよねぇ…」
路地裏。不良もいないしすっごく最適。
『そうだねぇ。あ、ここを左折すれば駅だよ』
本当にここに詳しいな、アリスは。
何者なんだ、アリスは。
『あー…………』
「?」
『厄介事、だね』
厄介事!?何それ!!
「キャーーーーーーー!!!」
「!?」
女の人の叫び声!?
うわばばばどうすれば!
『この路地裏を抜けて、右を向いて!そこで犯人が来るから何かして!』
何だよそれ!
「あーもー!」
心優しく清らかで天使のようなあたしはすぐさま駆け出した。
アリスの言う通りに路地裏を抜けて右を向く。
腹部から何やら血を出して倒れてる女性と
こちらに向かってくる包丁を持った、マスクをした中年オヤジがそこにいた。
いわゆる、通り魔、だ。
「どけぇ!!」
どけるか!!
でもあたしにはどうすることもできない。
『エリザ!パイプパイプ!』
はあパイプ!?不良か!
取り敢えずあたしはがむしゃらだったのでよく覚えてない─────が、
周りの歓声と、倒れた男のことは覚えてる。
あとは、刺された女性の意味深長な言葉。
────大丈夫ですか!?
────ええ…。
どう見ても大丈夫じゃない女性。ああミスった。
────と、取り敢えず病院へ!
────結構よ。あなた新入り?教えてあげるわ。この町ではこんなことは少しの不幸に過ぎないわ。他人の不安より自分の身を案ずるべきね。
そう言ってあの女性は腹を押さえて去った。
「……………」
取り敢えず、家を探そう。
一抹の不安を拭いきれないのは、あたしだけっすか。