長編
□〜執筆中〜
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「ごめ…な…さ…い…」
「…行くな…」
「あり…が…と………」
「……………!!!」
ガバッ
闇夜に包まれた暗い自室の片隅にポツンと置かれてあるベッドの上で、先程まで眠りについていたカカシは突然飛び起きた。
背中からは滝の如く雫が伝い、額からも冷や汗が流れ出していた。
鼓動も波打ち、些か呼吸も荒い様に感じた。
普段のカカシからは見て取れぬ光景であるが、こんな風になるのはこれが初めてでは無かった。
「…また…あの夢…。」
毎夜毎夜、数年前から見続けている夢がカカシをここまで追い詰めていたのだ。
とても…
とても悲しい夢…
真っ白な床と天井に包まれた一室には、色とりどりの綺麗な花が飾られている。
病室…だろうか。
部屋の真ん中に置かれている白いベッドには、力無く横たわる綺麗な女性。
淡い緑の衣に身を包み、裾から伸びるしなやかな手足は透き通る様に白い。
ただ、彼女の身体の至る部分には痛々しい程包帯が施されていた。
その横で俺は、いつも泣いている。
何故…?
何故俺は震えている…?
ふと彼女がとても小さな声で謝ると、いつも決まって俺は彼女の小さな手を握りしめ「行くな」と心の底から振り絞った声で言う。
悲しい…
1人にしないで…
すると彼女も決まって俺に「ありがとう」と笑う。
そこでいつも夢は終わる。
…誰なの。
何で俺の夢に出てくるのヨ。
初めの内こそ驚いていたが、毎夜毎夜となると流石にこういった不満も出てくる訳で。
気にはなるが慣れた物で再び布団に潜れば、すぐにカカシは眠りについた。
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