Longdrema(ネタ)

□4月
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校長の長い話が7割を占めていた入学式も無事終わり、真新しい制服に身を包んだ新入生が親と一緒に玄関前に溢れている。
そんな出来事を歓迎するかのように、毎年変わらない校門の所にある樹齢何百年もの大きな桜が花を散らせる。

そして俺にもここ青道高校の野球部の一員として向かえる2度目の春が訪れる。


「あー、だりぃ」


隣で早速制服のネクタイを取りワイシャツのボタンを開け、眠い目を擦りながら立っている倉持。
入学式こそはちゃんと制服を身に着けるようにと全校にお達しが回ったため、校舎を出てから制服を着崩すやつらも倉持以外にちらほらといる。


俺も堅苦しい式は苦手だから、うーん、と大きな伸びをした。


「あ?鈍ってんじゃねぇの」


ヒャハッ!さすがの天才もか、
そう言って倉持は笑う。


「まぁ、な。部活やれてねぇし」


ここ最近は入学式の準備で部活動加入生徒の行動は制限されている。
いくら野球部が体育館を使用しない外部だといっても準備やら何やらの力仕事には野球部はもってこいの人選だった。
そのため大多数の人間が準備に引っ張られやむを得ず部活は中止となっていた。

そしてそれは入学式当日の今日も例外ではない。


「あー、バッセン行きてぇなぁ」


欲求不満なのは倉持も同じらしい。
やっぱりいくら野球漬けの毎日を送っていたとしてもやりたいものはやりたい。
いつも隣にあったそれが無くなるだけで何か違和感を覚えてしまう。


そんな会話を門の前でぐだぐだしていたら後ろから急に頭に衝撃がきた。


「デカイのが2人も揃ってたら邪魔」


かなりの痛さに頭を押さえながら後ろを振り向くと隣にいた倉持も同じようにして腰を押さえながら振り返っているのが見えた。

振り返った先にいたのは野球部の3年の先輩。
俺に伝家の宝刀、小湊チョップを繰り出した亮さんと倉持の腰にキックを入れた純さん。
そしてその後ろには腕を組んでじっとしている哲さんがいた。


「おぃ御幸ィ。お前何だその格好はァ」


純さんに言われて自分の身体へと目線を泳がせる。

いや……、いたって普通ですけど。
ボタン1個開けたワイシャツに腰パンまではいかないレベルで穿いている制服の下。
そして愛用の黒ぶちの眼鏡に野球部の帽子をななめ被りしている。

これを駄目だと言うのなら倉持の方がもっとひどいんですが、
そう言おうとして口を閉じる。
今の純さんには何を言っても無駄なようだ。



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