book-Rs〈過去作品〉
□わからない心-9
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「ジュビア…まだ、リオンが好きか?」
腕の中の彼女は、俺の表情を見るなり慌てて首を横にふった。
自分でも情けないとは思う。でも、好きなやつが自分ではない人…ましてやガキからのライバルにとられてしまうなんて、考えたくもない。今俺は、とても悲痛な表情をしているんだろうな。
「グレイ様…ジュビアの幸せは」
涙ながらに必死に言葉を紡ぐ彼女
「グレイ様が幸せでいらっしゃることです…ジュビアが付きまとっていてはっ…グレイ様がっ困ります…ジュビアがいなければ……っ他の女の方と…巡り会う機会も増えるかもしれませんし…っジュビアが嫉妬しなければ…堂々とギルドの方ともっお付き合い……できます…
だから、ジュビアがリオン様のところへ行けば……グレイ様には幸せが訪れると思っていたんです……っ!」
涙が彼女の陶器のような白い肌をつたう。
こんなにも、思われていたのに…こんなにも、辛い思いをさせていた。
自分が心底、情けない。
「…愛してる」
抱き締めて耳元で囁く。
彼女の涙を拭きながら、手で顔をおおう。
上気して赤くなった肌に、濡れた瞳、腰に回された細い腕、空と同じ色の髪…
どれも愛しい。こんな彼女を、自分より先にリオンは見ていたのかと思うと胸が締め付けられた。
なぁ、お前はどうしてこんなに…俺を掻き乱すんだ?
「グレイ様…?」
不意に呼ばれた名前に驚いて、現実へと戻される。
「あぁ、悪い」
「ジュビアは、世界で一番幸せです」
「おう…俺もだ………」
次の日…
「ジュビア!迎えに来たぞ!」
「! リオン様!」
「悪いなリオン。お前の負けだよ」
「どういうことだ?」
「俺の方が…ジュビアをあい「きゃー///」
…んだよ?」
「グレイ様っ!それ以上はっジュビア恥ずかしいっ/////」
「ったく…………ま、そういうことだ。残念だったな」
「…ジュビアを泣かせたら、迷わず俺がジュビアを拐うからな」
そう言って立ち去ろうとするリオン
ジュビアの耳元で何かを呟き、その言葉にジュビアは真っ赤になってお礼を言う。
「あいつから何を言われたんだ?」
「そっそれは…///」
どうか、幸せになってくれ
………………………………………愛しい人よ
-end-