book-Rs〈過去作品〉
□わからない心-5
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どうして、ジュビアはリオンといるんだ?
『一番幸せになれる相手がリオンだから』
答えは出ている。でも、納得できない。
一番幸せになれる相手がリオンなのは、妥当だと思う。あいつはいつも冷静で紳士的で、強くて大人の余裕さも感じられる。
ジュビアはリオンを好きになっちまったのか…?
いつも、俺の近くに寄ってきてたのに…?
いつも、俺のことを見つめていたのに…?
気持ちに答えてやらない俺が悪いのは、痛いほどに理解している。それでも傍に居てくれたジュビアに甘えてしまっていた…
どうして俺はこんなにもやもやしてるんだ?
誰も、答えてはくれないし
俺自身も、答えを知らない。
目の前にいるのに、遠い遠い、二人を眺めながら途方にくれていた。
「ジュビア!」
愛しい彼女の名前を呼ぶ。
彼女は振り返り花が開花するように微笑み、こちらへと近づいて来てくれる。
「なんですか?リオンさ、まぁっ!」
近づいてきた彼女を力一杯抱き締める。
腕のなかでもぞもぞ、真っ赤になった顔を出して微笑む彼女が愛しくてたまらない。
愛してる、そう囁くと更に熱を帯びる彼女の真っ赤な顔がふわり、やさしく笑いながらありがとうございます、と紡がれた赤く潤った唇に噛みつきたくなった。
「リオン様…///」
「ジュビア…キス、してもいいか?」
彼女はなにも答えてはくれなかったが、顔を少し上げてゆっくりと目を閉じた。
しばらくその美しい顔と、この上なく幸せな状況を楽しみたかったが我慢できるわけもなく…
彼女の肩を掴み顔を近づけた瞬間…
「おいっ!!!」
「……グレイ様?」
「なんだ、覗き見とはいい趣味だな」
「リオン!俺が居たことに気づいてたんだろ!?」
「あぁ、だが俺達は恋人同士だ。お前に気を使う必要もないだろう?」
「………」
「あっ、あの…グレイ様?どうなさったんですか?」
「…え?」
自分でも気づかないうちに、頬を暖かい涙がつたっていた。