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□人魚姫の恋
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ジュビアはまるで人魚姫のよう……
人魚姫は王子に一目惚れをしてしまいます。そして、その王子に助けたことを気づいてほしくて…ただ、傍にいたくて…地上へ出るための足を手にいれるために声を失う…
声を失ってまで、会う価値はあったんでしょうか?
…あるんです。ただ、王子に逢えればそれでよかったんです。
ジュビアは痛いほどにその気持ちがわかります。
グレイ様…ジュビアはずっと、あなたを見ています…
-気付いて-
-傍にいさせて-
ただ、それだけの願いでした。
でもわたしは、やっぱり人魚姫も欲をかいたと思います。
声は…必要です。グレイ様に、届けたい思いが山ほどあるんですから…
「ジュビア!ここにいたのか!」
「グレイ様っ!ジュビアを探してくださっていた…!?////」
「ルーシィが海で落とし物しちまってよ…悪いが探すの手伝ってくんねぇか?」
「…はい、ジュビアに出来ることなら喜んで『------------』」
「わりぃな」
グレイ様…やっぱり、ルーシィの方がいいんですか?ジュビアのことなんて…
わたしも、人魚姫と同じです。結局、言いたいことなど言えません。声がでなくなります…あなたに伝えたい、悲痛なこの思いは…心をえぐり吐き出したいのに喉でつまります。
首を…絞められているみたいです…
「ルーシィ!ジュビア連れてきたぞ!」
「ジュビア!ごめんね、こんなことのために…」
「構いませんよ、ジュビアはみんなのお役に立ちたいです『----------------』」
グレイ様の、お役に立ちたい…
「ところで、何を落とされたんですか?」
「…えっと…実は、ペンダントを落としちゃったのよ、グレイが同じものを持ってるから見せてもらって?」
「えっ、グレイ様が…同じものを?」
「あぁ、これだよ」
グレイ様はポケットから細長いクリスタルの箱を取り出してジュビアに中を見せてくれました。
それは今巷のカップルで流行っているリングと十字架をあわせたようなデザインのペアのペンダントでした。
ジュビアも、お店の前を通るたびにそのに並べられたペンダントが素敵だと目を光らせていましたから…よくわかります。
女の子は好きな人とこういうの、持ちたいですよね。
「ところでルーシィ、どうして海になんか落とされたのですか?」
「クエストから船で帰ってきたんだけど…船をつけるときに結構揺れてね…ペンダントを眺めていたら落としちゃったの」
「じゃあ、船着き場あたりを探しますね」
「ありがとうジュビア!」
一生懸命探しました。
でも、探している途中…ふと思うのです。
このまま海に溶け込み、消えてしまいたいと。
光が何も届かない深海まで落ちて行きたい。あなたの、記憶からすべてのジュビアに関する記憶を削除してしまえたなら…
『-------』
しばらくして海の底で光る細長いクリスタルの箱に入ったペンダントを見つけました。
「ルーシィ、グレイ様ー!見つけましたよ」
「本当!?よかったぁ」
「ごくろうさん」
「これで間違いありませんか?」
「うん///ありがとう」
「よかったです、お役に立てて『------------』」
グレイ様の、お役に立てて
グレイ様とルーシィは…お揃いのペアのペンダントを持っていた…
それは、ソウイウコトですよね…
「ジュビア、聞いてほしいことがあるの」
わかってます…二人のことですよね?
「わたし、好きな人がいるんだ」
知っています…グレイ様とお付き合いなさってるんでしょう?
「今日、このペンダントを渡して告白するつもり」
え…?もう、グレイ様はペンダントを持っていらっしゃるのに…?
「ナツに…思いを伝えてみるわ」
!?
ナツさん…?グレイ様は……?
「頑張ってくださいっ!ジュビア、ルーシィのこと応援します!」
「ありがとう///ジュビアならそう言ってくれると思ってたわ」
「まったく、世話のかかる姫さんだよな」
「いいじゃない?あんたもいいのが買えたんだし?」
「おい!ルーシィ!!」
「…………」
あの店は女の子用のアクセサリーしか売ってなかった筈ですが…?グレイ様が、誰かに…贈り物を?
「じゃあ、わたしは先に帰ってるわね!
「おう、しっかりやれよ?」
「わかってるわよ!」
「ジュビ「グレイ様…」
…ん?」
「ジュビアは、人魚姫になりたいです」
「…?人魚姫って、泡になっちまうやつか?」
「はい」
「お前…実らない恋がしたいなんて、どうしたんだよ?」
「違いますよ、グレイ様。実らない恋でも一途で、自分の命よりも想い人の幸せを切に願う…そんな人になりたいんです」
「……」
「死ぬまで想い人だけを想って泡となり消えてしまえるなら、本望ですよ」
ジュビアは、いつの間にか泣いていました。
悲しくて、自分が汚なくて…
「でも、ジュビアは最低です。グレイ様が失恋なされたと言うのに…ルーシィを応援してしまうんです。どうかうまくいってほしいと願ってしまうんです」
「おい」
「ごめんなさい、グレイ様…」
「聞けって!誰が、いつ失恋したって?」
「……グレイ様が…先程…」
「馬鹿か!俺はもともとルーシィになんて興味ねぇよ」
「………え?」
「ジュビア、手出せ」
「…っ!」
「悪いな、安物だが気に入ってくれるか?」
「グレイ様…っ///」
手の上に乗せられたちいさなクリスタルの箱には、キラキラと美しくカットされている宝石が埋め込まれた蝶のかたちをしたピアスが入っていました。
「グレイ様ぁー/////『-------』」
大好きです!
まだ、声は出ませんが…
願わくば、お傍に………
-end-