短編

□やっぱり
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二人きりの楽屋。


「研二さん」


って、さん付けで呼ぶのも可愛いんやけど...



「なんでいつも敬語なん?」


俺の髪をセットしていたゆえの手が止まる。

もう付き合って何ヶ月も経ってるのに、ゆえはずーっと敬語。


「なんか...恥ずかしいんです」

俺の大好きな、ちょっとはにかんだ笑顔でそう言うゆえ。

へぇー。
恥ずかしいなんて、可愛い事言うんやなぁー。


でもなんでやろ。

俺らの歳がこんなに離れとるから?
身長差がでこぼこやから?


敬語もゆえっぽくて良いんやけど、たまには違うゆえも見てみたくて。

「研二、って呼んでみてよ」

体はそのまま鏡の方で、顔だけゆえの方を見上げて言った。

「研二...」

恥ずかしがりながらも、俺のおねだりに答えてくれたゆえ。
うん、可愛い。

「じゃあさ、研二って言って、ちゅーして?」



今日は、もっともっと、いつもと違うゆえを見たい。

普段はちゅーするのは俺からやけど...今日はゆえからで。



「ほーら!早く!」


戸惑うゆえに、唇を突き出して催促すると


「け、けんじ」

そう言って、触れるだけのキス。


んー!!
たまらんね!!!


「もうやりませんよ!」


顔をりんごみたいに真っ赤にして...

ほんと、俺の彼女ちゃんは可愛いんやから....!


俺は、すくっと椅子から立ち上がって、ゆえにキスした。


「んっ....研二さん...」

「やっぱさん付けが1番かなぁ」

そう言うと、照れ隠しなのか顔を下に俯けたゆえ。


そんなゆえが愛しくって、思わず立ち上がってぎゅっと抱きしめた。



やっぱり1番好きなのは普段のゆえ。

でもたまには...他のゆえも見せてね。




→あとがき

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