大宮BL小説BOX

□tactics 【ON】
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「私…留学することに決めたから、今日で終わりにして」

突然告げられた別れ…



「幼馴染やめて、今日から付き合って」

付き合い始めたのも、そんな彼女の唐突な言葉だった…



彼女が一度言い出したら聞かない性格なのは
嫌というほど分かってる。


「分かった」


その一言だけ告げて部屋を出た。





廊下に出た途端、隣の部屋から弟が出てきた。


「ちょっと…来て」


「ちょっ、引っ張るなよ」


こいつの部屋に入るの久しぶりだな、なんて思ってると


「大ちゃん。あのね……僕じゃダメかな??」


「はぁ??」


「僕……姉ちゃんの代わりになれない?」


「お前さ、部屋に連れ込んで何言うかと思えば…
 俺のことからかってんのか?」


「違うッ!!」


和は左手でおいらの服の袖を掴みながら、
首を左右に振った。


「じゃあ、どういうことだよ。
 姉貴の代わり??
 いい加減にしろよ。
 そんなこと出来る訳な…」


バカげてると思った。


でも和の頬を伝う雫を見た瞬間、
おいらの心臓がドクンと波打ったような気がした。


「ごめんなさい」


和は静かに左手を離し、おいらに背を向けた。


部屋を後にしようとドアノブに手をかけたのに、
おいらはその手を離して和に尋ねた。


「本気なのか?
 本気で俺のこと…」


振り返った和は深く頭を下げた。


「ゴメン…」


「なんで謝るんだよ」


「だって……気持ち悪いでしょ?」


「そんなことは…
 一体、いつから??」


「たぶん…物心ついた時から」


「えっ!!」


「でも、自分の気持ちを自覚したのは…
 両親が結婚記念日に温泉旅行に行った日」


「……まさか」


「ごめんなさい。聞いちゃったの。
 姉ちゃんとの、そのぉ……」


「……………」


「あの日から僕…
 大ちゃんのこと想って……抜いてた」


「なっ!?」


衝撃的過ぎる告白の数々に
おいらの頭はバースト寸前だった…
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