大宮BL小説BOX

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いつもと変わらぬ楽屋。

オレはいつものようにゲームをしている。


新聞を読んでいるメンバーもいれば、

雑誌をペラペラめくってたり、体を動かしていたり、

あの人は…携帯を弄っていた。


するとオレのスマフォがブルッと振動する。

ゲームを一旦停止し、確認すると一通のメール。


『今日いい?』

たった5文字の簡素なメール。


それに対して『いいですよ』と

オレも同じく5文字で返事をする。


同じ楽屋でメールのやり取りをしているとは、

他のメンバーは思いもよらないだろう…。





こんなやり取りをするようになって、もうすぐ5年…


本当は確認なんて必要ない。

いつでも来てくれればいい。


それでもあの人がそれをしないのは…

オレが嘘をついているから。





5人での仕事の後、

オレだけ単独番組の打ち合わせが入ってしまった。


マネージャーとのやり取りはたぶん聞こえていたはず。

でもあの人は何食わぬ顔でさっさと帰っていった。


オレの家の合鍵は持っているから、

特に気にしなかったのだろう。


ちなみにオレはあの人の家も知らない。





明日になればオレも30歳になる。

いつまでこんな関係を続けていくのだろうか…



どんな形でも繋がっていたいと、

あの人を感じることが出来るなら

気持ちが伴っていなくても構わないと、

今の関係を望んだのはオレだったのに…



繋がれば繋がるほど、

溢れ出しそうな想いを隠し通すのが、

だんだんと苦痛になっていた。





もう、今日で最後にしよう……
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