大宮BL小説BOX

□5色の虹 【ON】
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ここは近所の河川敷。


犬の散歩をしている人、ジョギングをしてる人、

近くの空き地からは少年達が、

野球やサッカーを楽しんでる声が聞こえてくる。


だだっ広い芝生に座って、RPGで僕は世界を救っている。

隣では智がスケッチブックに絵を描いている。


これが僕らの日常。

特に会話も交わさない。

けれど夕日が沈むまで、2人で過ごすのが日課。



でも本当は今日は特別な日…



「やった〜!!やっとボスキャラ倒せた」


僕が疲れた〜って伸びをしてたら


「ねぇ〜、かずぅ〜」


なんて、随分甘ったるい声で呼ぶから


「なんだよ」


って智の方に振り向いたら、


智の顔が目の前にあって、フワって唇に何かが触れた…


「!!!!!!」


「おいらのファーストキスありがたく受け取れ」


って、智はふにゃんと微笑んでいた。


「バ、バカバカバカバカ…」


僕は智の胸をポカポカと叩いた。


キスされたのが嫌だったんじゃないよ、

そうじゃないんだ…


僕だって、僕だって……ファーストキスだったのに…


大好きな、この世で1番大好きな智からの、

ファーストキスだったのに…


何が何だか分かんなかったのが、哀しかった…


そんな僕を智はギュッと腕に閉じ込めて、


「嫌だった?」


って聞いてきた。


僕がブンブン首を横に振ったら、


「嬉しかった?」


なんて聞いてくるから、


恥ずかしくて、僕は小さく頷いた。


ファーストキスはレモンの味なんて聞いてたけど、

僕のファーストキスは柔らかな感触がしただけだった…
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