短編

□手紙蜂→WT
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簡単な主人公設定
年齢:16か17
人種:アルビス種(銀髪に赤褐色の瞳の人種、感受性が強いらしい)
身長:平均より高いくらい(160cm前後)
容姿:髪は肩甲骨に届くくらいの長さ

ーーーーーーーーーー




「心弾装填!!響け!!青緑!!」


辛うじて辺りが見える程の暗さの中、一筋の光が走った


ガラアアン


重たい金属がぶつかり合う音が響く


「うわぁ!!ここ一帯こんなに鎧虫がいるなんて聞いてないよ〜!!」


息を整える少女の傍らには金属の山ーー鎧虫だったものが幾つも存在した


倒しても倒しても湧き上がってくる鎧虫に少女は辟易していた


「誰だよ、こっちは近道だなんて言ったの…私か」


ハチノスに帰ったら館長に怒られそうだと嘆く少女に近づく影


がるるぅ


鳴きながら姿を現したのは大きなネコ科動物
フンスとまるで少女を咎めるように鼻息を鳴らす彼に少女は苦笑いを浮かべた


「あはは…ごめん、リベルタ」


ホワイトタイガーのように白い体毛に縞々の柄の入った彼は、少女の相棒(ディンゴ)である


「さぁ、もう一息だよ。サポートよろしくね」


今までこんなに多くの鎧虫を相手にしたことはない。ここの鎧虫に関する情報は有益なものとなるだろう
全部は倒せないが隙を見て逃げるくらいなら…


心弾銃を上に向ける


「撃ち出す弾丸は不安の欠片!!心弾装填!!釣られろ!!青緑!!」


バシュッー


空に向かって引き金を引いた

鎧虫は釣られるように上に触手を伸ばす


「よし!ここだぁ!!」


鎧虫たちの合間を縫って逃げ出した


のだが、辺りが暗すぎて逃げ出した先が急な坂になっていることに気づかなかった


「え?うわっ!」


階段があると思って踏み出したのに階段がなかった時のような感覚

必然的に傾く身体

咄嗟に手を出したが身体を庇うように横向きに倒れてしまったからか坂から転がるように落ちた


「ぬわぁぁあ!!……いてて」


何とか止まり身体を起こす


いたるところをぶつけたものの動けない程ではない


その時ふっと影が落ちた


見上げるとそこにはー


ギィィィ


アトラスオオカブト型の鎧虫ーーアブサンの姿があった


「ぬわぁぁああ!!近い近い近いぃぃ」


急いで距離を取ろうと後ろを振り向くともう1体アブサンが近づいてきていた


は、挟まれた…
このままだとココロを奪われてそれでーー誰にも見つかることなく死んでいく


恐怖で頭が真っ白になる


ガルルゥ


リベルタが鼓舞するかのように唸った


「そうだね。ここで何もせずに易々とココロを奪われるくらいなら、当たって砕けた方が私らしいよね!」


手袋で手汗が拭えず気持ちが悪いがそんなことは言ってられない

ぎゅっと心弾銃を握りなおす


「撃ち出す弾丸は希望の欠片!!響け!!青緑!!」


先ずは近い方から的確に


ガラアアン


上手く隙間に入り一体目を倒した


あと一体…!!


と意気込んだのも束の間


「うわっ!?」


もう1体のアブサンに足を掴まれた


「こいつ…!!は、なせ!!」


アブサンの気をそらすため上に銃を向けた


「心弾装填!!青緑!!」


心弾を撃った先に触手を伸ばすアブサン

足を掴む触手は緩み、振り解こうとした瞬間地面がなくなった


「え?」


何が起こったのか理解出来ないが、文字通り地面が消えたのだ

落下するとき特有のふわっとした感覚

急速に遠ざかっていく空

落ちているのは私だけでなく足を掴んでいたアブサンやそのアブサンに飛びかかっていたリベルタもだった

な、何か掴めるもの…

手を横に伸ばしてみるも何の感触もない
真っ黒な空間が広がっているだけだった



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