Noi Incontrammo

□第2話
2ページ/6ページ



「な…」


「スゲェ!!」


「感心してる場合か!!追うぞ!!」


「あれは無理だろ」


“下”で騒いでいるのが聞こえる

私は左右の壁を蹴って上まで上ったのだ
最後は危なかったが…

人間成せば成る!!


彼らを見下ろし、ちょうど目が合った少女に微笑んでそこから離れた

あの子可愛いな←


それから私は教会まで戻ってきた
下手に動くと危ない

教会の前に一人の男の子がいた

肌の白いその子は本を読んでいた

こっちに気づいたのか顔をあげ、赤い目がじっとこちらを見つめる


「お姉ちゃん誰?」


『…ごめんね。なんて言ってるか分からないや。こっちの言ってることも分かんないだろうけど』


案の定彼の頭の上に疑問符が浮かぶ


「お姉ちゃん、ここの言葉が分からないの?」


なおも話しかけてくる少年

どうしたものだろうか…


「僕とお喋りできないね…そうだ!!」


少年はいきなり立ち上がり私の手を引いた


『え、何?』


「僕がお姉ちゃんにここの言葉教えてあげるよ!!」


何か名案だとばかりに生き生きと話す少年


「まずは…そうだなぁ、僕の名前はエルモだよ」


一方的に話しかけられてもよく分からない
遊んで欲しいのかな

すると今度は少年が手で自分を指し


「エ・ル・モ」


ゆっくり言った


『エルモ?』


聞こえた単語を繰り返すと少年は嬉しそうに何度も頷いた

もしかして名前…?

今度は私が少年を指差し


『エルモ…?』


と確認の意を込め言うとますます嬉しそうにした


「お姉ちゃんの名前は?」


また何と言ってるのか分からないが私を指してるからきっと私の名前を聞いてるのだろう


『コハク…』


私も自分を指しゆっくり言った


「コハクお姉ちゃん?」


名前のあとに何かついたが、敬称みたいなものだろう

微笑み頷くとエルモも笑ってくれた

しばらくエルモに単語を教えてもらっていた
その辺にある木や石、教会などをエルモが指差し単語を繰り返して言っていたのを覚えただけだが…

ありがとうって何て言うんだろう

日も暮れ始めた頃


「あ、もう僕帰らなきゃ」


エルモが何かを言った


『?どうしたの?エルモ?』


「エルモ、こんなところにいたのか」


後ろから低い男の声がした




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ