思い出

□ジャーファルさんの休日
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【ジャーファルさんの休日】


今日は不思議なことにお休みをいただいた。

「全く…私がいないとろくに仕事回らないくせに…」

そう、私がいないと大変なことになる筈なのだ。

それなのに。

『ジャーファルは働きすぎだ!』
『あんたのせいだろ!?』
『うっ…ま、まぁそんなことだから週末はお休みしなさい!いいな!!休むんだぞ!!』

と言うことなのだ。

だからと言っても、友達もいなければ私服もない。
寝間着を着たままだし、いつも通り早朝に起きてしまった。

「折角の休みだし…少しぐらい許されるか」

二度寝ぐらい良いだろう。




どれぐらい寝たのか、目が覚めたのは扉をノックされた音だった。

「ジャーファルお兄さんさぁん」

仕事がなんとかって話かと思ったら、なんとアラジンの声だった。

「(一体何なんだ…)はい、少し待ってください!」
「入って良いかい?」
「へ?…どうぞ?」

わぁい!と入ってきたのは、アラジンとモルジアナだった。

着替えかけだったが、気にせずさっくり着替えてアラジンを見て声をかけた。

「今日はどうしたんです?一体、アラジンもモルジアナも」
「おじさんに言われ…」
「ジャーファルさん一緒に買い物にいきませんか!」

シンめ…なんか企んでるな…。
でも、アラジンとモルジアナがわざわざ来てくれたのだ。行かないと言うのもいたたまれない。

「すみません…私私服がなくって…」
「大丈夫!私服は準備して貰ったよ!!」
「あ、こちらです!」

何処まで用意周到なんだ…!!

まぁ、私服もあることだし、シンの目論見があるにしても、このまま部屋にいると確かに仕事をしてしまう。

「わかりました…着替えるので外で待っていてください、直ぐに行きますよ」

二人はパタパタと出ていった。



「どうせこうなると思った…!!」

アラジンとモルジアナ二人につれられて、服を見たり、異国の装飾品を見たりして過ごしていると、ふと頭上に影がさした。

「アバレオオウツボだッ!!」
「今日は宴だぁぁぁ!!」

そう遠くから聞こえてきたのだ。

「ジャーファル様!!よろしくお願いします!!」

キラキラとした目で店員がこちらに語りかける。

そうなりますよねぇ…。

あと少しすれば、自分抜けた八人将が来るだろうが、自分がサクッと終わらせてしまった方がいいだろう。

袖中にしまっていた眷属器を取り出し、高らかに宣言した。

「双蛇!!(バララーク・セイ)」

オォッと地上で声が上がるのを聞きながらアバレオオウツボの喉元を引き裂いて大動脈を斬れば直ぐに終わる。

スタッと地上に降り立つと大きな声で出迎えられた。

「アラジン、モルジアナ帰りましょうか」

日も西に沈んできた、そろそろ帰らなくてはいけない。
何よりも宴が始まる、休みといえども駆り出されるだろう。

「うん!わかったよ!」
「あ、あの、ジャーファルさん…」
「ん?何か…あ!」

服に返り血がほんの少しながら付いていた、せっかく用意して貰ったのに…。
これは染み抜きしなくては…。

「私としたことが…早く染み抜きにないとまたこうやって外に出られませんからね…早く帰りましょう」

二人を半ば引っ張りながら帰った。

だが、城門を潜った辺りで、異変に気がついた。

そう、宴の準備をしている割には人がいないのだ。

「あれ…」

その瞬間だった!!

「「「「「ジャーファル!!いつも御疲れさまー!!」」」」」

「は?」
「ビックリしろよ!」
「私なりにビックリしましたよ!!」
「ごめんよ、ジャーファルお兄さん」
「サプライズを準備するから、見つからないようにしろと言われたので」

そう言うことだったのか…。と二人の言葉に納得した。確かにシンらしい。

「まぁ、アバレオオウツボもあることだし!!今日は盛大に、宴をするぞ!!」

そんな、シンの言葉でザッと動き出したが、私は引き留められて先に行ってなさいと言われた。


今日はおかしな事に蕁麻疹もでなかったから、シンの言う通りにした。


【ありがとう。楽しかったですよ!】


『シン!!前のこの書類間違ってますよ!!』
『ピスティ!!前のやつだしっぱなしじゃないですか!!』
『シャルルカン!!お前ここで何やったんだ!!』


やっぱり、後日処理が半端じゃなかったから、もう休まないと決めたジャーファルさんなのでした。

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