03/23の日記

22:06
忍跡、観音足
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「跡部の足は成熟に近い彫刻のような美しい足で筋肉のすじも美しく切りそろえられた爪は口当たりもええんや」
「そ、そうなのか」
さすがの跡部もこれには引かざるをえなかった。珍しく饒舌な彼が口にするのが自分の足の感想ではなく、例えば経済の評論のようなものだったなら話に花を咲かすことができたのだが。じゅるるっと爪先を勢いよく吸ったりふくらはぎに頬ずりしたり。この前はトレンカというものを履かされた。なんでもトレンカの先から見える土踏まずやら爪先がいいらしい。
それを3日に一度許している跡部も跡部なのだが、普段テニスでもポーカーフェイスな忍足が恍惚とした顔を見せる数少ない一つなのだ。それを得ることができる優越感。
どんなに、爪の生え際を舐められて悪寒がしても靴下の後をなぞられて読書の邪魔をされても、樺地に一度開けたドアを瞬時に閉められても。
この顔を向けられているのが自分である限り止められそうにない
すうっーと足の指先で忍足の輪郭をなぞる。よく仕立てられた座椅子によりかかる跡部と床に跪く忍足という構図は跡部本来のジャイアニズムを満足させた。気分が良かった。
巻き上げられた制服の裾も折れ目がついているし、腹が立って踏んづけて壊した伊達眼鏡ももう3つだ。
跡部は忍足が儀礼を欠くことを許さない。
きちんと王のような座椅子に腰を置いた跡部の目の前に膝をついて、頭を下げ、その日はどうしたいのか伝えて。それを告げる忍足の、羞恥から睫に貯まる涙や蒸気した頬を確かめて。予定に無い行動をしたら容赦なく頬や鼻、口にぐにっと足の甲を押し付ける。
「アーン?テメェは本当に変態だな。俺様の足に一喜一憂するやつなんざ雌猫でも両手両足で足りるだろうよ」
「んぁっ…やって景ちゃんの足、綺麗ちゅうよりもいやらしいんや。他の奴はこない綺麗な足を拝めへんなんてほんま哀れやで」
「んっ、吸い付くのは二回だと言っていたはずだよな」
「ほんま堪忍…んぁあっ!足蹴にせんといてぇ!観音様みたいな景ちゃんの足が悪いんやぁあ!」
「言うことに欠いて俺様のせいか。テメェは!本当にっ!愚図だなっ!」
跡部の足の外側が忍足の頬を一定のリズムで往復し、ぐにぐにと圧迫する。同じリズムでまた、あの砂糖をまぶしたような低い声が嗚咽として漏れる。


そんな放課後。そんな中学生生活。
生徒会室のカーテンに映る影は日がとっぷり落ちた時2人の立場が逆転し、防音の壁が跡部の嬌声を吸い込む…。

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