02/24の日記

23:41
忍跡、春
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「跡部、なにしとるん」
「忍足…」
昼下がりのある日、忍足は五時間目の移動教室に向かう流れとは逆に校庭のはずれへと向かった。2階からいつもとは違う跡部の姿が見えたからだ。
桜の木の下、薄紅色のショールをすっぽりと頭から被って立っていたのだ。
「春を待ってるんだ」
「春?」
「今年はたくさん東京にも雪が降っただろう。だから誰かが春を待ってやらねぇと」
「さよか、でもな跡部春はもう来とるみたいやで」
「アーン?どこにだよ」
跡部はあたりを見渡す。しかし彼の目に移るのはまだ蕾もつけていない桜の木であったり、池に少し氷が張っていたり、まだ春だとはとても言えないような景色。
そして忍足。彼もまた冷たい冬のような目でこちらを見ていた。
「あんな跡部。春はもうお前の頭の中に来とるみたいやで」
小春日和の陽気が2人の間に漂った。

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