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□黄瀬君と黒子
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蒸し暑い夏の、更にうんざりしてしまうような雨の夜。
Γだから、何でアイツが俺の教育係なんスか?」
体育館は湿度が上昇し、立っているだけでも汗が頬をつたう。
Γいい加減変えて下さいッスよ、俺尊敬できない先輩に説教垂れられるの嫌なんスよね」
そして、雨が屋根を叩く音が強まってきた。
Γいい加減にするのはテメーの方だボケ」
青峰とうとう重い口を開いた。
黄瀬は自らの教育係についてこのところ毎日不満を洩らしている。青峰はそれを聞くたびにフラストレーションが溜まって行くのを感じていた。しかしながら彼はその風貌に合わず忍耐強くその不満を聞いていた。
何故ならその教育係の実力を口で説明出来るほど青峰は器用な男ではなかったからだった。
だから、忍耐は続かなかった。
Γはぁ!?」
Γあのさぁ、オメーの実力はもうわかってんだよ。こっちはその上でテツを教育係にしてんの。文句言わねーで従え」
Γアイツの実力が俺よりも上ってことスか」
Γそうだよ」
黄瀬の顔色がみるみる青くなっていく。激昂しているのだ。
Γテツは俺達に無いものでチームを支えてんだよ。わかんねーならダラダラ不満言ってねーで辞めろ」
Γ…俺よりもアイツのがチームに必要ってことスか…!」
途端、黄瀬はユニフォームを脱ぎ、床に叩きつけた。汗で濡れたそれはペチョンッと情けない音をたてた。
Γもう良いス…実力ないやつをお情けで一軍に入れているような部なんてこっちから願い下げッスよ!!」
体育館の扉を勢いよく開けて、黄瀬は出ていった。
Γったく辞める時までうっせーなーアイツは…」
Γ辞めませんよ、あの人は。」
Γうおッ…!!」
話題の中心人物、黒子テツヤがそこにはいた。